第13章 体育祭
怒鳴りながら暴れそうな衝動をぐっと堪える。
「翔ちゃーん♡♡♡」
カズも見てるし、さすがにやらないけども。
一生懸命手を振ってくれてるカズに、笑顔で手を振り返しながら
「潤…」
感情を押し殺した声で潤を呼ぶ。
「ああ、さっさと片付けて早く戻ろうぜ」
何も言わなくても、潤には全て伝わったようだった。
というか、潤も同じ気持ちなんだろう。
もともと強い目力に怒りが加わって、尋常じゃない迫力があった。
カズにカッコ悪いところを見せられないっていう意地と、カズへ邪な視線を向けるやつらへの怒りとで、通常以上の力を発揮できた気がする。
カズたちにデレてたやつらを中心にボコボコに打ち負かして、宣言通りさっさと勝負をつけた。
競技を終えて大急ぎで席へ戻ると、可愛いカズが目をキラキラさせて迎えてくれた。
「お疲れさま、翔ちゃん♡すっごい!すっごい強かったね!カッコ良かった〜♡♡♡」
「ありがとう」
ああ、可愛い。
この笑顔を見るためなら、俺はなんだって出来る気がする。
「潤、お疲れ!」
「ああ、ありがとう」
潤も智くんに笑顔でタオルを渡してもらって、ちょっとデレてる。
でもそれを隠すように
「なぁ、これどうしたの?」
なんでもない風を装いながらカズたちが持ってるポンポンを指差した。
「タッキーに渡された。これで応援して盛り上げてって」
顔を合わせて、ねー♡ってニコニコするカズと智くん。
なるほど。
滝沢の仕業か。
「んじゃ、これは?」
続けて潤が指したのは頭のリボン。
「これもタッキー。なんかやる気アップとか言ってたけど…」
「意味がよく分かんなかったんだよね」
今度は2人揃ってキョトンと首を傾げてる。
首の角度まで揃ってて。
さっきから動きがシンクロして双子みたいだ。