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死の舞踏

第4章 剔抉


怖い気持ちが無いわけじゃない。
なぜ今更、マフィアの命令が入ったのか。
なぜそれが、、自分の家だったのか。

ーー大体想像はつく。死んだ両親。「殺しそびれた」少女の存在。それでも尚平静を装っていられるのは、隣にいる長駆の男性の存在に他ならなかった。
チラリと優凪はその男性を横目で見やる。男性ーー織田作はエレベーターの外に広がるヨコハマを眺めるでもなく、ただ虚空をじっと見つめていた。

チン、と音が鳴った。最上階だ。
降りてすぐ目の前に玄関がある。優凪は躊躇いもなくそのドアを開けた。

点々と血の跡が残る玄関。織田作が黙って先に入り、その後に続いてドアを閉めた。織田作はコートの内側に手をやると、拳銃を手に中を進んでいく。優凪も辺りを見回しながら織田作の後に続き廊下を抜き足差し足で進んでいく。

リビングに着いた。そこには2人の人間ーーー優凪の両親が倒れている、はずだ。


然し、そこに2人の遺体は無かった。
「無い…??」
どうして、という呟きが漏れたが、即座に織田作からポートマフィアが始末済みと聞かされていたのを思い出した。

ガチャ、ガチャ、ガチャーーー

次の瞬間、目の前で背を向けていたはずの織田作が猛スピードで半回転し、優凪を抱えて窓際へ転がりこんだ。壁には数発の銃弾がのめり込んでいる。

殺されかけた。

その事実に身体の芯がスーッと冷える想いだった。
織田作は「まるで初めから分かっていたかのように」銃弾を避けてみせると、優凪をソファーの後ろに隠し、自らも盾にして
銃口をリビング入口から遠く離れたテーブル側に向けた。

数人の黒スーツの男達。ーーポートマフィアの構成員だ。
弾を外した事に若干驚きつつも再度射撃しようと銃を此方に向けて構えた。

さっきは運が良かったから避けられたのだろうが、今回はーー
そう思った瞬間、思わずソファーの影から立ち上がっていた。
「やめてください!!狙いは私でしょう??ポートマフィアの方々!!」
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