• テキストサイズ

【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第30章 〜緋色の欠陥、晒される過ち〜



取り敢えず俺が言いたい事はこんなもん。そう言って最後を柔らかい声音で締めくくった清光の言葉に、顔を上げたコナンと沖矢は彼を呆然と見つめた

彼は安室の話が本当に実話だった事を知らぬのだろう。確かに当時のコナン達は必死だった、罪を犯した自覚がないまま躊躇いもせずに非道な作戦を行ったのだ。きっと過去の己が知れば糾弾されるだろう、自分の憧れていた人物像、理想としている正義とあまりに違っている。他人に「犠牲無き正義」を訴えておいて、実際は自分が矛盾した行動をとるなんて

けれど眼前で罪を突き付けてくる男は、不思議と口先だけでは無かった温情を感じた




「……ええ。本当に、そうだと良いんですが」


「これはお嬢の持論だけどね、正義は法律や一般論で理性を保たせる楔のようなものだ。これは社会的な価値観だね。ならば逆に悪とはなんだ、どれだけ悪意を抱えていても害が及ばなければ法律上は犯罪じゃない。そして嫌いな相手も悪と呼ぶ。負の感情を持て余し、対象に嫌悪を向ける事自体は自然な事なんだよ」


「つまり仕事の都合とは言え、無理矢理赦しきる必要はないと?」


「当然だろ?限界が来るまで我慢するくらいなら吐き出せ、互いにとって満足のいく落とし所で話をつけろ。感情論は綺麗事ばかりじゃ上手くいかない、だから平和になった今でも犯罪が起こってるんだ。加害者だって数ある要因で犠牲者になる。大切なのは平穏の為に理解し合う心だよ」


「なるほど。確かにその方が幾分か気が楽だ……」


「人間は多くの矛盾を抱え、数ある過ちを犯すんだ。それを超えて成長してこそ、人が人たる輝きを持つ……。生きてりゃ苦難は絶えず来る、自分を磨きなさいな」




安室が沖矢にブラックコーヒを出しつつ、チラリとコナンを見やりながら肩をすくめていた。あくまで君達の今後の行動次第だよ、そんな意思が確かに込められている気がして、コナンと沖矢は何も言えずにひっそり唾を飲み込んだ


果たして、このまま真実を誤魔化し続けていくのか、自ら過去の罪を明かして前進するべきか。覚悟を決めるしかないとーーー













僅か数十分、沖矢とコナンがポアロの店内にいたのはそんな時間だった。二人で暗い表情のまま出て行き、一層静まり返ったポアロは清光がコーヒーを啜る音と、安室が洗い物をスポンジで拭う小さな音が占めている
/ 325ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp