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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第25章 〜毛利蘭の苦悩〜



蘭は幼い頃の自分や身近な者ついて、懐かしそうに微笑みながら語っていく。警官として犯人に向き合う父と、弁護士として法廷に立つ事を選んだ母、そしてシャーロック・ホームズを夢見て探偵を目指し始める幼馴染。蘭はそんな彼らの背中に憧れるようになり、いつか自分もそうありたいと強く望むようになった



「だから私、自分と誰かの空手を始めました。強くなったら悪い人にも負けない、弱い誰かを守れる、褒めて貰える……。間接的でもいいから皆の仕事に関わる事を、ほんの少しでも手助け出来る事をしたかったんです。私はあんまり賢くないから、頭脳は無理でも格闘競技に向いているならそこを伸ばしたくって。ただただ認められたい……。背中を見るだけじゃ嫌で、置いていかれるのが嫌で、なんとか有段の資格を取れたんです」

「(蘭……)」

「(蘭くん……)」

「まさに努力の賜物ですね。物事を継続して励んでいくのは、実に大変なものです。それだけご両親や幼馴染の方を尊敬しているのでしょう、素晴らしい目標だと思います」



園子と世良が蘭の秘めていた熱意に、小さく息を呑んで瞠目した。二人は親密な付き合いの中で蘭の多くを察してきたが、改まって聞く事になった思いの深さは想像以上のものだ。そして麻衣の惜しみない褒め言葉を受けた蘭は、恥ずかしそうな照れ笑いを僅かに浮かべて「あの、ありがとうございます」と控えめに言うとすぐに表情を曇らせる



「……だけど最近、自分の事も皆の事も色々考えるようになりました。父が警察を辞めた後に小さな探偵事務所を始め、別の理由で別居を始めたら母の弁護士の仕事が上手くいきだしたんです。新一も高校に入ってすぐに探偵として有名になるし、気づいたら大きな事件があるからって突然の不登校。引き取ったコナンくんまで推理に興味を持ってるみたいで、好奇心が旺盛なのか事件の時も普段もあちこち彷徨いて知らない人に喋りかけるんです。麻衣さんと初めて会った時もそう、何度迷惑かけちゃダメって注意しても改善してくれなくて……。しかも世良ちゃんも服部くんも探偵だから、新一から受けた探偵好きが余計に悪化したんだと思うんです」



蘭の周囲は正義感が強くて逞しい者が多く、公務員や探偵を務める人間で溢れていた。それをとても誇らしいと蘭が喜んでいる一方、そうであるが故の苦悩を秘めて苛まれていた
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