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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第25章 〜毛利蘭の苦悩〜



「だけどおじさん、蘭姉ちゃんの気持ちはどうなるの?」



しかし、喧嘩ばかりの両親を悲しむ蘭を見てきたコナンは、やはり別居状態が続く離れた距離に反対だった。何なら妥協してもらえる様に粘るつもりで小五郎を見たが、彼はそんな少年の頭を大きな掌で乱暴に撫でながら揺るがぬ声で言うのだ



「……悪ぃなコナン。元警官の俺も、弁護士として優秀な絵理も、結局別居で思い通りの生活出来てんだ。俺らは俺らに合った夫婦生活以外はする気がねぇよ。それに仮に同居したとしても、喧嘩が増えれば大事な相手にだって不満が溜まるし、いつかは妥協も我慢に変わって爆発する。なんせ蘭の憧れる家族には遠のいたが、これが毛利一家の最善なんだ」

「(おっちゃん……)」



小五郎の決意は一切変わらず、別居状態こそが夫婦の仲を保つとまで告げられるとコナンが遂に何も言えなくなった。他所は他所、家庭によって円満な暮らし方は違うのだろう。コナンは工藤新一としての両親が非常に仲良しだが、夫婦誰しも適度な距離感に差があるのは当然の事だ。自分も蘭の為にと説得を試みたが、本人達も家族を想っての選択なのだと分かって仕舞えば他に意地を通す言葉はない。コナンが少しもやっとした気持ちを抱えて悔しげな顔を俯かせると、段々蘭や絵理が賑やかに喋りながら帰って来た


「コナンくん、お父さんお待たせ。いっぱい美味しそうなのがあって迷っちゃった」

「今度は私達が荷物番ね。二人でゆっくり選んできなさいな」

「はーい」

「おう、頼んだぞ」


嬉しそうにはしゃいだ蘭と絵理が席に座った次は、小五郎とコナンが椅子から立ち上がる。そして、二人がバイキングエリアに向かおうとしていたその時、他にも大勢の客が食事を楽しむ空間内に誰かのつん裂くような『いつもの』悲鳴が響き渡った


「きゃあああああっ!!」

「うおっ?!な、なんだ今の悲鳴?!お前らはここで待ってろ、いいな?!」


思わず声に出して驚いた小五郎はすぐに冷静になった。何やら不穏な展開を予感し、咄嗟に家族やコナンに待機の指示を出して悲鳴が聞こえた先へ駆け出した。しかし、小五郎がそう言って動き出す前にはコナンが現場に向かって走り出しており、気づいた小五郎が怒鳴ってみるも止まらない。次第に父親と少年の背中は遠くになっていき、絵理と二人で不安に思いながらも蘭は言いつけ通りに見守ったのだった
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