第20章 会計委員会
潮「…予算会議前になるとどうもな。確かにあんたの言う通りだ。」
予想外の言葉にゆうきは拍子抜けした。文次郎は怒って睨みつけているわけではなく、元々怖い顔をしているだけだったのだ。
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「ふぅ、これでよし!潮江君、こちらは終わりました!」
ゆうきは帳簿の片付けをしながら、棚や床の掃除も行った。部屋の隅に放置されていた帳簿が、綺麗になった棚にきちんと整頓されている様子を見るのは気持ちがいい。
潮「おぉ、綺麗になったな。ありがとうございます。」
文次郎にお礼を言われ、ゆうきはにっこりする。
潮「では、本日の委員会活動は一旦終了する。」
「「「ありがとうございました!」」」
田「では、食事と入浴を済ませてからまた集合でいいですか?」
潮「うむ、そうだな。宿題がある者は先に終わらせるんだぞ。」
忍たま達のやり取りにゆうきは驚いた。
「え、夜も委員会活動するの?」
潮「あぁ、来月は予算会議だからな。」
「私もお手伝いできることない?」
潮「特にない。」
そう文次郎に言い切られて、ゆうきはしょんぼりとする。
左「ゆうきさんは食堂のお手伝いで朝早いから、潮江先輩なりに気を遣われてるんですよ。」
文次郎は図星であったのか、少し顔を赤くして咳払いをした。
「ふふふ、ありがとう。でも今日は会計委員会を手伝う日だもの。できるだけ力になりたいの。」
文「しかし…。」
田「下級生の帳簿のチェックをしてもらってはいかがでしょう。」
三木ヱ門の助言にゆうきの表情は明るくなった。下級生3人も先輩がゆうきに仕事を与えたことを嬉しく思っていた。
文「お前が言うならそうしよう。重要なものは我々がすれば良いしな。ではゆうきさん含め全員、また夜に集合するように。」
「「「はい!!!」」」
団「ゆうきさん、は組と一緒に夕飯食べましょう!」
左「は組はこないだご一緒したんだろ!」
神「食堂はこっちだー!!」
4人が出て行った後、文次郎が口を開く。
潮「よかったのか?」
田「もう少し、様子を見たいと思いまして。」
上級生2人も腰を上げ、会計室を後にした。