第20章 会計委員会
実を言うと、ゆうきはかなり緊張していた。
というのも、学園一ギンギンに忍者している会計委員会委員長の潮江文次郎は15歳とは思えぬ貫禄の持ち主であり、そんな文次郎からよく思われていないことは痛いほど分かっていたからだ。
また、文次郎の横で言葉数少なく、ゆうきを観察している田村三木ヱ門の存在も、ゆうきを緊張させていた。四年生は全員私のことが嫌い……、滝夜叉丸の言葉が思い出される。きっと彼も例外ではないのだろう。ゆうきを見定めるかのような視線は冷たく感じられた。
ゆうきは顔には出さないが、それなりの心構えをして、今日の委員会活動に臨んでいたのだ。
文次郎が全員に担当の振分けを行った後、1番最後にゆうきに指示を与えた。
潮「ゆうきさん、あんたは過去の帳簿の整理をしてくれ。古いものから順番に並べるだけでいい。」
文次郎が指差す方を見ると、部屋の隅に乱雑に積み上げられた帳簿の山があった。
「はい。」
潮「中身は見ずにな。」
「え?」
意図が分からず聞き返すと、文次郎は苛立った様子で付け加えた。
潮「過去の資料といえども、忍術学園の立派な機密事項だ!並べるのは、帳簿を開かずともできる。開いた瞬間追い出すからな!」
「は、はい…。」
文次郎に凄まれ、ゆうきは完全に萎縮していた。
(心配しなくても別に見ないよ〜;; )
神「潮江先輩、そこまで言わなくても…」
団「そうですよ〜、それに過去の帳簿がそんなに重要なものですか?」
田「当たり前だ。過去の帳簿を見たら今どれくらい武器や火薬があるかなども、おおよそ分かるだろ。それ以外にも敵に知られたくない情報が満載だ。」
「…そんなに大事な物なら、きちんと仕舞っておけばいいのに。」
全員がバッとゆうきを見た。
しまった、口に出てしまったと、ゆうきが後悔した時にはもう遅かった。ギロリとこちらを睨む文次郎と目が合った。