第7章 近づく距離
運ばれてきた軽食にいちごもあって、あたしが食べられる数少ない生の果物に感動した。
今はまだ時期じゃないのにどうやって調達するんだろ。
「いただきます」
いちごはデザートかもしれないけど大好きだから、最初に食べちゃおうと思って一つ手に取った。
「おいっ!イチゴ生だぞ!!」
「っ!!」
突然青峰君にでっかい声を出されて、あまりにもびっくりして驚いた拍子にイチゴを落っことしちゃった。
多分、この間あたしが生の果物はあんまり食べれないって言ったせいだ。
「あ、あのね…いちごは大丈夫なの。いちごとさくらんぼとぶどうは食べられるの」
「すげービビった。驚かせて悪かった」
なんか、青峰君のこういうとこ……好き。
うまく言えないけど、あたしの話をちゃんと聞いてくれてるんだなって思うと嬉しかった。
「ううん。大丈夫」
謝らなくたっていいのに謝って、お皿にあるいちごをフォークに刺してヘタの部分を切り落として渡してくれた。
「あ…ありがとう」
向けられたフォークを受け取ろうと手を出すと、青峰君がちょっと笑って口の前にいちごを差し出してくれた。
「ちげーよ。口開け」
え……
これって
あーんってするってこと?
なんか…なんか…すっごく恥ずかしい!
でも、ちょっとしてみたい気持ちもある。
相変わらず余裕の笑みであたしを見てる青峰君が手をひっこめちゃう前に口を開けると、長い腕を伸ばしていちごを口に入れてくれた。
やっちゃった……
すっごい恥ずかしい…
でもすっごくおいしい。
「うまいか?」
「…うん」
なんで青峰君ってこんな色気ダダ洩れなの?
ずっと一緒にいたら高血圧で倒れるかもしれない……
「飯食ったら、ジム行きてぇんだけどいいか?」
「うん。あの……もし行っても良かったら、あたしも少し運動したいんだけど邪魔……かな?」
「いや。一緒に行こうぜ」
「うん!」
ジムに行かれたら行きたいって思ってトレーニングウェアは持ってきていたから、青峰君が行くなら一緒に行きたい。
青峰君は体を維持することも仕事の内だから、絶対に邪魔だけはしないようにしなきゃ。
一緒にいたらドキドキしてどうしようもないのに、あたしは自分で青峰君と離れる時間を作らないようにしてる。