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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


「黒須さん」

「はい」

青峰君のマッサージを終えて、大我の撮影に立ち会っているとスタッフさんから声をかけられた。

「カレンさん体調戻ったみたいで、あと30分くらいで入るそうです」

「分かりました。ありがとうございます」

もっと遅れるかと思っていたけど、思いのほか早く体調を持ち直したようで、これからまたあたしはカレンのメイクとして仕事をしなきゃいけない。


さっきまではこっそり二人だけで会話をしてたメイクスペースに戻ってメイクの準備を始めた。

昨日あれだけのことを言ったのに、カレンがあたしにメイクを続けさせることに若干の違和感はあるけど、もうあたしは一人でどうにかしようなんて微塵も思ってない。


とにかくこの仕事をやり切る
仕事をやり切るためならどんなことでもするし、周りの人の力も借りる。


カレンの入りが早まったことを青峰君も聞いたのか、パットと一緒にメイクスペースに来て、ボディアートの為に羽織っていたガウンを脱いだ。


鍛え上げられたその体には、少し前にあたしが付けた痕がうっすらと残ってる。

ただの鬱血
意味なんて感じない
少し前まではそんな風に思っていたキスマークが、今は全く違って見える。


この人は間違いなくあたしだけの大切な恋人で、あたしを大切にしてくれてる人。
その広い胸はあたしから恐怖や不安を取り去ってくれて、その代わりにあったかさと安心をくれる。
強く抱きしめられると、ドキドキするのに嬉しくてずっとそうしていてほしくなる。


誰にも取られたくない、あたしだけの世界で一番好きな場所。



青峰君が好き
だから誇れる自分でいたい
好きでいてもらえる自分でいたい


パットに手間をかけさせているのに、キスマークを付けて良かったと思ってしまう。
たまには目に見える物で確かめたい時があるんだって青峰君に言われたけど、本当にその通りだった。

あたしは今、自分が残した痕を見て確実に前を向けた。


カレンのメイクから逃げてしまいたいという気持ち以上に、青峰君と一緒にこの現場をやり切るんだって気持ちがあたしの奥からふつふつと湧き上がった。
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