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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


『遅れてしまって申し訳ありません。これ、皆さんでどうぞ』


ペントハウスにカレンとマネージャーが到着して、マネージャーがミネラルウォーターの差し入れをしてくれた。

初日から現場にはいたけど、仕事をしているのかいないのか分からないマネージャーが初めて仕事らしいことをしたからなのか、みんな驚いてはいたけど差し入れはありがたい。

現場の人間全員が好きなタイミングでそれぞれに取り行かれるように休憩のスペースにその水が置かれた。


『サラ、あたしにもお水持ってきて頂戴』

『分かりました』

カレンは思いのほか顔色も悪くなくて、すぐにメイクに入れたから撮影の遅れは最小限で済みそうで、あたしも後から休憩を取ることができそうだった。


『どうぞ』

『ありがとうサラ。今日もよろしくね』

『はい』


怖いくらいに穏やかなカレンと笑顔を絶やさないサラ。





だけど、サラの目は少しも笑ってない。
サラが寒気のするような笑顔一瞬浮かべて、あたしとカレンのいるメイクブースから離れて行った。

サラの持ってきた水を少しずつ飲みながら、鏡の中の完成していく自分を見てカレンが笑っている。


『あなた…水はいいの?』

『はい。私は結構でございます』


怖い


昨日まで、あれ程攻撃的だったカレンの不気味な大人しさも、さっきのサラの顔も全て怖い。


『まさか、水に毒でも入ってると思ってるの?』

嘲笑うような、鼻で笑うようなその顔は、“そんなことするわけないでしょ”とでも言いだげだった

確かにそんな分かりやすいことはしないのかもしれない。
だけど徹底的に用心しなければ、何をされるか分からない。

箱ごと置かれて、誰がどのボトルを取るかなんて分からないんだからそんな危険なことはしないと分かっていても、差し入れられた水をもらう気にはなれなかった。


『いえ…『当たりめぇだろ。てめぇは遅刻ぐれぇで差し入れするような女じゃねぇし、遅刻自体悪いとすら思ってねぇんだろ?……まぁ、何が目的にしろ、俺もみさきもお前が差し入れたものには一切手はつけねぇ。仮病まで使ったのに残念だったな』



毒が入ってるとは思ってないと言うつもりが、隣でメイクをしていた青峰君に完全に遮られた。
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