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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


「まだ怠いとこありますか?」

「もう大丈夫だ。ありがとな」


昨日までに比べたら表情は柔らかくて声もいつも聞く可愛い声だけど、仕事中だからなのか敬語で、話すときだけ目をクリクリ俺に向けてくれる。


ホントはもっとやっててほしいけど邪魔ばっかしてるわけにもいかねぇし…
そろそろ仕事に戻らせねぇとパットに俺の嘘がバレる。


「少し乾燥してるので、最後にクリームだけちょっと付けていいですか?」

「あぁ」


別に自分では乾燥してる感じはねぇけど、触ったみさきが言うならそうなんだと思って塗ってもらうことにした。



ゆっくり塗り始めて、まだ馴染み切らねぇクリームで手の甲が白くなった時、今まで両方の手の平全体を使って塗ってたみさきの手が離れて白くて細い1本の指が俺の手の甲をなぞった。


Ditto


みさきの指で書かれた短いヒトコトは、目が合った瞬間に消されちまった。



だけどちゃんと伝わってる


誕生日にくれたメッセージも、今の言葉も、一瞬しか見えなくてもちゃんと俺の中に残ってる。


照れ屋のみさきが、こうやって気持ちを伝えてくれんのがすげー嬉しい。

耳まで真っ赤になってんのに、一生懸命仕事に集中しようとする姿がめちゃくちゃ可愛い。

少し視線を上げたみさきと目が合うと、今すぐ抱きしめたくなるほど愛しい。


すげー好き


「あの…」


反対の手にもクリームを塗りながら、さっきよりも真っ赤になった耳と首。
全く視線は上げてくれねぇけど、むしろそれは俺が助かってる。
みさきがこうやって話しかけてくるときは間違いなくあのウルウルチワワ目だから、あんな目で見られたらこっちが追い込まれる。


見てぇけど、今はやべぇ

「ん??」


冷静を装って返事を返すと、視線を上げないまま何度もまつ毛をバサバサさせてから一瞬だけキュッと唇を噛んだ。


「青峰さんのおかげで、今日も幸せだって…昨日の猫が……言ってました」


だからさ
そういうのは2人の時に言えっつってんだろ…

けど、こうやって言われんのはすげぇ幸せ


『Ditto』


俺も同じだ


お前のおかげで、色んな幸せを感じられる

手元から視線を上げねぇままだけど、下唇を噛んで少し笑ってくれた。







最後に手を強く挟んで解放されると、離れていくみさきの体温がめちゃくちゃ名残惜しかった
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