第25章 起憶
ドキドキする…
キャミソールを脱いだらあたしの上半身は本当に何も身に着けてない
恋人とベッドにいるのにカップ付きの色気皆無のキャミソールなんて着たから罰が当たった
だけど、自分が着てるものなんて完全に忘れてしまうくらい青峰君とくっつきたかった
せめてこの貧乳がまともに見えるように可愛いランジェリーくらい用意すればよかった
青峰君にキャミソールのことを聞かれたことで急に思い出した色気のない下着と初めてすべてを晒す緊張で少し指先が震えて、思わず手をぎゅっと握った
「震えてる。怖いなら無理すんな」
「ちがうの……怖いんじゃなくて……」
なんて言おう…
自分だけがドキドキしてて、いい歳なのに、もう何度も一緒にベッドで過ごしてるのに
これくらいのことで心臓が飛び出しそうになってるなんて知ったら、どう思われるんだろう……
だけど言わないと、きっと怖がってるって思われてもうしないって言われちゃうような気がする
「怖くないの……ちょっと…緊張してちょって…」
………噛んだ……
最悪…
あたしっていつも緊張すると噛んじゃう…
「ふっ……ははっ…はははは‼‼」
笑われた……
もう恥ずかしくて色々無理……
握ってた手を開いて両手で顔を隠すと耳とか首とかに優しくキスをして、顔を覆った手にも何度もキスをしてくれた
「緊張だけか?ホントに怖くねぇ?」
あたしが噛んだことを笑いながらも優しい声で聞いてくれる青峰君に怖くないってことを伝えたくて首を縦に振るとキャミソールがまくり上げられて、ふわっと外気がおなかに触れた
腕に触れられて逆らわずに顔から手を離すと暗がりの中でも分かるほど優しい顔があたしを見下ろして頬をそっと撫でてくれた
「愛してる」
その言葉と同時に強く抱きしめて器用にあたしからキャミソールを抜き取ってしばらくそのまま抱きしめ続けてくれていた
「ぁぉ…みね君も……」
服の裾から今度はあたしが手を入れて少しTシャツをまくると硬くてあったかくて鍛え上げられたお腹がお腹にぴったりとくっついた
青峰君が腕を抜いたTシャツをあたしが頭から抜いて二人でくっつくと、上掛けなんていらないんじゃないかって程あったかくて、言葉にならない程幸せだった