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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


青峰君がずっと背中を撫でてくれてたお陰で気分は落ち着いて呼吸もできる。

泣きすぎたせいで少し酸欠で頭が痛いのと指先が痺れてるけど、あたしを覆い尽くした恐怖はもうほとんどなかった。

それでもやっぱり明日からの現場でいろんな男の人がいるところに行くのは怖かった。
女性が多いとは言っても男性も一定数はいる。

今は恐怖はなくても明日のことを考えると怖くて怖くて堪らなかった。


「怖いことは吐き出せ。溜めこんじゃダメだって玲子サンにも言われてるだろ?」

こつんとくっつけられたおでこと大きくて柔らかい、あたしを守ってくれる手が頬を優しく撫でてくれた。


「…明日……怖い……親しくない……男の人もいるから……何もされないって分かってるけど…近くにいるだけで…男の人からするあの匂いが……怖いっ…」


すごく鼻がいいとかじゃないのに、トラウマを刺激された後に男の人といるとあいつと同じ匂いがするような気がして、それがいつもあたしの恐怖を煽った。

大我とか真太郎からはその匂いがしたことはないしパパからもしないし黄瀬君からもしない。

もちろん青峰君からもしない。


だからあたしの勘違いだって分かってるのにその匂いがずっとしてる気がしてしまう。


玲子先生にも、勘違いだって分かってるけど怖いって話すと否定せずにどこでもできる対処療法として腕時計をくるくる回してそれに集中するって言うのを教えてくれたからそれはやってる。

だけどやっぱり仕事中だから相手の話を聞かない訳にはいかなくて、あんまりうまくはいってない。
マシにはなるけど息苦しくて、休憩を挟んでもらったり電話が来たふりをしたりトイレに行くふりをしたりしてやり過ごしてる。


「お前仕事中よく手を握って口元に持ってくだろ?」

「え…?……あ……うん」

あたしは考え事をしたり打合せをするとき、手をぐーにして鼻に当たるように縦に当てて口を隠す癖がある。

口元は一番感情が出やすいから無意識に隠すようになった。

「ペニンシュラのスパにあるお前の好きなあの香水を手に少し付けて、匂いを感じたらそっちに集中しろ。そうすれば相手に違和感も与えねぇし話も聞ける」

「でも…カレンにメイクするのに手に匂いは…」

「今は自分の事だけを考えろ。そもそもお前がこうなった原因は誰だ。今は仕事よりも何よりもお前自身の事を一番に考えろ」
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