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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


あたしは自分がここまで弱いと思ってなかった。
仕事ならどんな時でも冷静な振りぐらいはできると思っていた。


冷静になってから考えれば自分がいかに愚かなことをしたのか分かるのに、あの時は何も考えられなかった。

カレンの言葉は、あの男があたしにしたことは究極の愛情表現で、あたしを本当に愛してたからそうしたんだと言われてるようだった。
そしてそれを受け入れなかったあたしが悪い。受け入れられないあたしがおかしいんだと言われてるようだった。



正しかったのはあの男で、間違ってたのは全てあたしなんだと言われてるようだった。


だから…


自分は間違ってないと確かめたくて、あの男を憎悪して嫌悪する自分は間違ってないと主張してその意見にカレンを屈服させたかった。


あたしの意見でカレンの言葉を叩き潰したかった。



黙らないカレンを何かで殴りつけたくなる衝動を言葉に全てぶつけて、カレンの身代わりにあの口から出された言葉を叩き潰して屈服させたかった。


自分が間違っていたと、嘘をついたと、認めさせたかった。

だから、きっとこうなったのはあたしの弱さと脆さが原因で、カレンは無意識にそこをほじくり返しただけだった。

カレンがあたしの過去を知ってるなんてことはどうしたってありえない。

だからあれは無意識だったはずなのに、あたしは知られているのかもしれないと一瞬頭によぎっただけで冷静を失った。


この女にだけは自分の弱みを知られたくないという強い感情が、逆にあたしを追い込んだ。



「……甘ったれで……泣いて何とかしようとする自分が大っ嫌い…弱くて自分本位で、いつまでもいつまでも過去を振り切れなくて、玲子先生にお世話にならなきゃまともに仕事もできない、青峰君に守ってもらわなきゃ現場一つまともにこなせない……いつまで経っても人に頼って自立できない…」

「それでいい。人に頼らねぇ人間なんて誰一人としていねぇ。玲子サンも俺もいろんな奴に頼って、支えられて生きてる。お前は自分のできねぇことに焦点を当てすぎる。もっと自分を褒めてやれ。あんなことされてもお前はちゃんと自分の目標を形にしてきてる。命すら危なかった手術を乗り越えて今ここでしっかり自分の足で立ってる。だからそれでいい。自分を卑下するな」


最初に告白をしてくれた時も青峰君は同じことを言ってくれた。
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