第25章 起憶
一瞬のことだった。
青峰がみさきを抱きしめた瞬間、カレンの顔が歪んでサラの顔にみさきへの憎悪が見えた。
サラはヤベェ
あの顔は普通じゃねぇ
パットからも牽制されてカレンは大人しくなりそうではあるけど、サラは分かんねぇから再確認の意味で忠告をした。
『お前ら…これ以上青峰怒らせんなよ。明日もみさきになんかすりゃあいつ何するか分からねぇぞ』
『タイガまであの女の肩を持つの?!何でよ!』
『幼馴染だからだよ。あいつは俺の幼馴染だからあいつの肩を持つんだよ。たかだか数か月青峰と付き合ってネロをダシにあいつを繋ぎ留めようとするお前よりも、生まれた時から知ってて人間的に尊敬できる奴の肩持つのなんて当たり前のことだろ。これ以上みさきになんかしたら俺も見過ごさねぇから覚えとけよ』
未だに納得ができてねぇカレンに俺も黙ってはいられなかった。
さっきのみさきはちょっと普通じゃねぇ
二十歳の時何も食えなくなってガリガリで入院したときのことを思い起こさせる顔だった
『あたしの方がダイキを愛してるわよ!』
『ありえねぇ。もし仮にそうだったとしても青峰はみさきしか見てねぇよ。レイプだの妊娠だのでっちあげる女がどうやったら愛してるなんて言えんだ。聞かせてくれよ。下手すりゃお前の嘘で青峰はバスケができなくなったかもしれねぇぜ。好きな男から大事なもん取り上げる女が何であいつを愛してることになんのか分かるように説明しろよ』
みさきは青峰をめちゃくちゃ大事に思ってる
青峰の腕の手術の時、自分だって手術を控えてるくせして柄にもなく神頼みなんてして、成功しますようにって毎日毎日言ってた。
大丈夫だよね?ってうざってぇぐらい俺に聞いてた。
バスケしてる青峰が好きで誰よりも応援してる
いつも自分を大事にしてくれる青峰を心の底から信頼してる
遠距離でもあいつらの気持ちは完全に重なってて、何かで繋ぎとめようとしなくてもお互いがお互いを必要としてる。
『あたしにはダイキが必要なの!』
『必要だから愛してるっておかしいだろ。普通は愛してるから必要なんじゃねぇの?お前は浅いんだよ。若いからじゃねぇ。わがまま放題やってきて何でも思い通りにしてきたからお前は浅いんだよ。それに青峰が必要としてるのはお前じゃなくてみさきだ。青峰はみさきを愛してるからみさきが必要なんだよ』
