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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


みさきの仕事への責任感を知っててそれに甘えきった結果がこのザマだ。

俺のせいでこんな事になっても、みさきはバスルームで1人で泣こうとしてる。

初日も、あの下着を勘違いしたときも、みさきは俺の前じゃなくバスルームで一人で泣いてた。

そばにいてやれねぇことの方が多くて嫌でも一人にさせちまうことがあんだから、一人で泣かなくていいときに一人で泣くな。

キスねだって可愛く甘えられんのも好きだけど、こういう時に一緒にいなきゃ俺がいる意味がねぇ。


みさきが過去を話してくれた時、忘れさせることはできねぇけど思い出さなくていいくらい幸せにしてぇって本気で思った。
辛くて泣いてる時に一緒にいてやれねぇならそんなことできるわけがねぇ。

みさきは他の女達みてぇに思い通りにならねぇから泣いたり喚いたりしてるのとは訳が違う。

治りきらねぇ傷を無理矢理抉られて痛くて苦しくて泣いてる。

感動したり嬉しくて泣くなら別にいい。
けど苦しくて辛くて怖くて泣いてんなら、一緒にいて少しでも楽になれるように支えてやりてぇ。

バスルームに行くのをやめて、俺に抱き付いてきた華奢な体を抱きしめるとあっという間に俺のTシャツを濡らして細い肩が何度も上下した。


漏れる嗚咽も流れ続ける涙も…
これは全部みさきの苦しさだ
11年前からずっとずっとこいつの中に居座るデカくてタチの悪りぃ重荷。



泣きじゃくるみさきを抱きあげてベッドに横になってまた抱きしめて、少しずつ落ち着いていくみさきの体からは自然と力が抜けていって、それでも俺にしがみつくようにする腕だけはずっと変わらなかった。


「怖いか?」

「……す…こし…」

泣いて掠れた小さい声は弱々しくて痛々しかった。

それに多分、本当は少しじゃねぇ
けどそこは深くは聞かねぇ

少しだろうがたくさんだろうが、みさきが怖い思いをしてることに変わりはねぇんだから。


「…ごめ……」

「謝るな。自分が悪くねぇことで絶対に謝るな」

何でもかんでも自分に非があるなんて思ってたらキリがねぇ。

今回悪りぃのは俺とあの女で、みさきが謝らなきゃいけねぇことなんてただの一つもねぇ。

「…仕事…だったのに……」

「最初に仕事から外れてお前を攻撃したのはあいつだ。お前は自分を守っただけで悪いことなんてしてねぇ。自分を守ることは悪いことじゃねぇ。それが正しい」
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