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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


パットの部屋でメイクを落としてもらって部屋を出ようとしたとき、俺のスマホが鳴って相手は何故か進藤だった。


黄瀬は今日はスタジオ撮影で一緒にはいねぇのに、俺に用事があるってことは多分みさき絡みで嫌な予感がしてすぐに通話に切り替えた。


「どうした」

「みさきが…カレンと何か話してるんですけど変なんです!今どこですか?すぐこっち戻れませんか?」

普段は結構ふざけちゃいるけど比較的冷静な進藤が明らかに焦ってて、ちまちまと状況を聞いてる場合じゃねぇことだけは確かだった。


何があったかは分からねぇけど、パットと火神にもみさきになんかあったことを伝えて3人でペントハウスに戻った。


扉を開けた瞬間に分かる凍り付いた空気
聞こえてくるのは、何も感情が感じ取れねぇ抑揚のないみさきの声だけだった。

あの女が俺に無理矢理抱かれたことをでっち上げたのが今のこの状況を作ってることは明らかだった。

みさきはきっと、あの時見たことや感じたことを何一つ忘れてねぇ。
桜が苦手なことも春があんまり好きじゃねぇことも、あの時感じた恐怖も、多分相手の顔や触られた感触ですら…

五感で感じた全てを何一つ忘れることなく自分の奥底に持ってて、それを思い出させられてるから死んだような顔をする。



俺のせいであんな顔させて…あの女を刺激しねぇことがそんなに大事なのか?
俺が大事なのはみさきだろーが。


間違ってた

あの女がみさきを気に入らねぇことで仕事を投げるならそれはあの女の責任であってみさきは全く関係ねぇ。
プロとしてここで仕事をするって自分で来たんだから仕事をするしねぇは個人の責任だ。

スタッフが気に入らねぇから仕事ができねぇならやらなきゃいい。
結局広告塔なんてのは代わりはいくらでもいて、俺じゃねぇとダメな理由がねぇようにあの女じゃなきゃいけねぇ理由もねぇ。


やめてぇならやめろ
俺はみさきとこの仕事をやり切る




背筋が凍るほど程冷めた目をしたみさきを腕の中に引き寄せると、体中をガッチガチに固めて少しだけ震えてた。

あの時もこうやって体が恐怖で固まってたんだと思うとすげぇ苦しくて、とにかく今はみさきをその恐怖から解放してやりたかった。


俺がもっと早く…最初にみさきに言われたときに、一番大事なのは何かをちゃんと見極めてさえいればこんなことにはならなかった。
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