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モデルのボーダー隊員~番外編~

第13章 ストーカーにあったら


後日談(シュウ視点)

それから1ヶ月が経った。明希は無事退院し、普通に学生生活を謳歌していた。暫く松葉杖が手放せない生活だったが、私生活では悠一が、学校では公平や瑠衣達がサポートしてくれたおかげで、今では普通に歩けるまで回復した。仕事に関してはトリオン体なので何の問題もない。
ただ、後遺症は残っているようで、道行く知らない男性とすれ違う度に肩を震わせてしまい、1人で出歩けなくなってしまった。

例の教師は記憶を消されたついでに遠くの学校に飛ばされたようで、学校に復帰してから1度も目にしなくなった。

「明希!一緒に帰ろ!」
「うん!あ、カゲさんだ!」

丁度生徒玄関からカゲさん達18歳組が出て来た。目立つ彼らに明希は大きく手を振る。
今回の件以降、明希はカゲさんにかなり懐いた。悠一以外の年上男性でこれだけ懐いたのは珍しい。

「随分と懐かれたじゃねーの、カゲ」
「ヒカリちゃんや同い年の女の子以外で仲のいい子あんまりいないからね。ゾエさん嬉しいよ」
「うっせぇ外野」
「あれだな、でも。嫉妬が凄そうだよな、迅さんの」
「夜道には気ぃつけた方がええんちゃうか」
「可愛い彼女が他の男と仲良くしてるんだし、仕方ないかもしれないね。甘んじて受け入れなよ」
「怖いこと言うんじゃねーよ!穂刈!水上!王子!」
「安心しろ。カゲは俺が守る」
「お前はもう少し話を理解してくれ、鋼」

その会話中もホワホワとした感情がカゲさんをつついている(ような気がする)。むず痒いのか、首の後ろをポリポリと掻きながら明希と瑠衣に近付く。

「お前なぁ、あんま俺に関わるなっつったろ」
「嫌です。カゲさんで遊ぶの楽しいですもん」
「人で遊ぶんじゃねーよ。バカ」
「カゲさんがデレた!」
「誰がいつデレたんだよ!お前の耳は飾りか!?」
「カゲさんが怒った〜!」

年齢よりも幾分か幼く見える笑顔の明希は、何も知らない無垢な赤ん坊のようで、それでいて全てを知って尚も世界を愛する神様のような輝きを持っているように見えた。

「おら、帰るんだろ。本部行ったら相手しろ」
「もちろん!」

そう言って明希の頭をワシャワシャとガサツに撫でるカゲさん。じゃれあった後に模擬戦の約束は必ずする。2人の間ではお決まりだった。

SEが故に人と壁を創りがちな2人だが、今回の件で明希だけじゃなくカゲさんもその壁が低く薄くなったようだ。
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