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モデルのボーダー隊員~番外編~

第13章 ストーカーにあったら


迅視点

「アンタに俺達の関係を説明しても信じないだろうから、アンタに見せるような証拠はないよ」
「証拠がないなら話にならないな。いい加減明希は俺のモノだと理解しろ!明希だってお前なんかより俺に抱かれる方がいいに決まってる!」

ここまで聞く耳を持たれないと、怒りを通り越して呆れてしまう。溜息がつい漏れてしまう。同時に内部通話から救急隊が到着したと連絡が入る。「了解」と短く答えて玄関へ。

「待て、どこへ行く!明希を置いていけ!」
「アンタの言うことを聞く義理はない。俺は明希の幼馴染で、れっきとした恋人だ。アンタみたいに、一方的な感情の思い込みで成り立ってるようなヤワなものじゃない。一緒にするな」

そう言い捨て、まだ喚いている犯人を無視してさっさと玄関へ向かう。玄関に着いてすぐ、救急隊の人に明希を預けた。

付き添いとして乗車した車内で、明希の未来を視る。最善の未来も最悪の未来も見えない。モヤがかかりすぎて視えにくい。一緒に付き添いとして乗っていた蓮琉に何度も顔を覗かれ、不安げに声をかけられる。その全てに「大丈夫だ」「気にしないで」と説得力の欠けらも無いことを返す。

医務室に運ばれ、小規模な手術が行われた。弾は貫通していたため、皮膚・筋肉・神経系などの修復と輸血が主な内容らしい。

簡単な内容だと聞いていたが、少し問題があった。輸血の際に血液型検査をした結果、明希はAB型だったのだ。唯一の救いはRh+の方だった事で、本部内のAB型が集められた。

ボス・当真・奈良坂・蓮さん・犬飼・仁礼ちゃん・隠岐・人見ちゃん・染井ちゃん・藤沢...。
みんな口を揃えて「藤咲(明希・先輩)にはお世話になってるから」と協力してくれた。
昔の明希を知ってる俺と蓮琉は、揃って「明希(姉さん)の人望すげぇ...」と圧倒されてしまう。

手術は1時間ほどで終わった。しかし、出てきた明希は酸素マスクと輸血用の管が刺され、先程よりも少し顔色が悪くなっていた。

「先生、姉さんの容態は?」
「手術は無事成功しましたが、出血がかなり多かったみたいで暫くは目覚めません。命に別状はないので、早ければ明日の午後には目覚めますよ」

それを聞いて心底ほっとした。同時に今まで不明瞭だった明希の未来がハッキリと視えるようになった。
それは誰にとっても幸せな未来で、こんな状況だと言うのについ、頬が緩んでしまう。
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