
第13章 ストーカーにあったら
犯人視点
もう少しで明希が僕のモノになりそうだったのに、どうして邪魔をするんだ?
弟でさえ許し難いのに、何故影浦まで邪魔をする。アイツの素行の悪さを知っているからこそ、明希には釣り合わないことも分かる。
影浦だけじゃない。各学年に2,3人は明希との関わりが多い奴がいた。だから纏めて消してしまおうと考えたが、全員上手いこと避けてしまったせいで誰も死ななかった。あまり関係ない奴らもいたが、どちらにせよ僕の邪魔をする側の人間には変わりなかった。消えるならどうでもいい。
「あぁ、そこに隠れたんだ。いい子だね明希。そこは隠れ家の候補だったんだよ。明希を俺のモノにした後、暫く隠れるために用意した場所だったんだけど...ホント、君は僕の事をよくわかってるね。影浦の事怖いよね。今僕が迎えに行くから待っててね」
明希視点
ねっとりと背中を這うような気配が近付いてくる。カゲさんも気付いたようで、僕を背に隠して入口を睨む。
ガチャと軽い音を立てて扉が開く。入って来たのは孝二君と秀ちゃんが予想した通り、うちの学校の先生だった。しかも、生徒指導部で僕の担任の先生...。
「テメェが犯人かよ...!」
「何で...先生が...?」
「やぁ、明希。随分と手間を掛けさせてくれたね。君は僕のモノだって何回伝えれば分かるんだい?」
「ぼ、僕は...先生のモノじゃない...」
「何言ってるんだい?転校してきて僕のクラスに入ったんだ。君は僕のモノで、僕の言う事を聞いていればいいんだよ?」
「意味がわからない...」
「頭イってんじゃねーかテメェ」
「お前は黙ってろ影浦!僕は明希と話してるんだ!邪魔をするなら...」
先生が懐から拳銃を取り出した。流石のカゲさんでも、生身を撃たれたら死んでしまう。咄嗟に足が痛むのも忘れて、カゲさんを庇うように前に立った。
「ダメ!!カゲさんを撃たないで!!」
「僕を殺人犯にしたくないんだね。やっぱり優しいね君は」
「お願いします先生。カゲさんを撃たないで...」
「...仕方ない。君が自分でこっちに来てくれたら撃たないであげるよ。影浦を撃って欲しくないんだろう?」
「わかりました」
「おい!」
迷わなかった。僕が我慢したら良いだけ。
僕は大丈夫だから、カゲさんは逃げて。それだけコソッと伝えると、伸ばされていた腕が止まる。
「バイバイ、カゲさん」
