
第13章 ストーカーにあったら

その日の放課後
超大勢(17歳組&16歳組+α)で下校する事になった。両隣は瑠衣と光に腕を組まれ、後ろに17歳組、前に16歳組という完璧なフォーメーションが完成した。
これでストーカーも近寄れないだろうと言った蓮琉と秀ちゃん。正直怖い。
「何で俺達まで巻き込まれてんだよ!」
「俺に言うなよ。仁礼に捕まったのはカゲだろ?」
「おいカゲ!折角明希の近くで歩けるのに文句言うな!」
「うっせぇ!ヒカリは黙ってろ!」
「カゲもうるさいぞ。藤咲が耳塞いでる」
「...チッ」
+αと言うのはカゲさん・村上先輩・当真さんのことだった。会話の通り、下校中の彼らを光が引っ張って来たのだ。なんかごめんなさい。
「それにしても、この人数は圧巻だな。何で藤咲を囲むようにして下校してるんだ?」
「その...色々ありまして...」
「簡単に言うとな!ストーk」
「言うなって言われたでしょ光!」
村上先輩のごく当たり前な質問に、悪意ゼロの光が応えようとして友子に止められる。が、察しの良い先輩方は気付いてしまった。
「まぁ、ドンマイだな。俺らのとこもよくあるし」
「今とか国近が主だな」
18歳組でも似たような事はあるらしく、特に今先輩は僕と同じで誰にも言わずに溜め込むらしい。
親近感湧くなぁ。
等と呑気なことを言っていると、例の気配を感じた。こんな大勢でいるのにも関わらず、そのねっとりした嫌な気配は増幅していた。
しかも、それは人間には考えられないほど速く近付いてくる。これに気付いたのは僕とカゲさんだけだった。
「これは...」
「マジかよ...」
「...おかしい」
周りが何がおかしいのかと問う間もなく、背後から車の走行音が聞こえて来た。振り向くと、大型トラックが爆走していた。
「!?全員、走れ!!」
カゲさんの声で全員が走り出す。オペレーターの子たちは近くの戦闘員が抱えて走り、僕は一早く気付いたカゲさんに手を引かれて走る。
横道や細い路地に逃げ込む者、橋の下に隠れる者等様々だが、カゲさんはそのまま逃げ続けた。
手を引かれるがままに着いて行き、もう少しで轢かれそうな所で脇道に逸れる。その時、タイミング悪く足を挫いてしまった。
「痛っ」
「おい、大丈夫か?」
「大丈夫...じゃない...」
カゲさんが僕を背負うとした時、突然影が現れ、何か確かめる間もなく気を失った。
