第13章 ストーカーにあったら
公平君が僕の後ろを呼び出してそう言った。
パッと振り向けば、大好きな後輩達が揃って立っていた。
「みんな、何でここに居るの...?」
「三輪先輩から連絡を貰ってここに来た。姉さんの事だから特に俺は知る権利はあると言われてな。断る理由もないし、姉さんの様子がおかしい事にはみんな気付いていたから連れて来た」
「そう、だったんだ...。ごめんねみんな。変に心配させちゃって...もう少し上手く隠せてたらよかった」
自嘲気味にそう言えば「それは違う」と否定された。
「何で姉さんは全部隠そうとするんだ。悩んでいる事や困っている事を相談するのは迷惑な事じゃない。寧ろ頼って貰えて嬉しいし、それだけ信頼してくれてるんだって思えるものなんだ」
蓮琉が何時もより不機嫌なのがわかる。僕が隠そうとしたから、それが気に入らなかったんだろう。
「そうだよー。俺達が後輩だからって遠慮する必要なんてないし、仮にもここに居る大半は男だよ?明希ちゃん先輩を護るぐらい、この場にいる男子は全員出来るからね?それとも、明希ちゃん先輩は俺たちの事信頼できない?」
いつも明るい賢も怒っている。しかし、何処か悔しそうな感情も混ざった目で見てくる。何でそんな目をするの...?
「明希先輩が優しいのは知ってるけど、ここまで来ると逆に悲しいよ。佐鳥がそう思うのも仕方なく思えるし」
「それに、先輩から見れば俺達は「可愛い後輩」で「守るべき存在」に入るのかもしれないっすけど、俺達は守られてばっかの赤ちゃんじゃない。先輩が幾ら生身を鍛えていても、相手が男なら適わないかもしれないんすよ?そこんとこ分かって欲しいっす」
天羽君から悲しいと言われ、京介からは懇願された。
僕は知らない間に後輩達を傷付けていたようだ。
確かにトリオン体なら、僕が負ける事は殆ど無いのかもしれない。でも生身なら、例えシュウでも勝てないかもしれない。圧が効かない奴らもいるかもしれない。
そうなったら、僕に出来ることは逃げることしかなくなる。そうなってからでは全てが後の祭りになってしまう。そんな事に気付けなかったなんて、僕は本当にバカだなと深く反省する。
「ごめんね。僕はただ、皆を危ない目に合わせるのが嫌だったんだ。でもそれじゃダメなんだって、今更だけど気付いたよ。...本当にごめんね...ありがとう」
