第13章 ストーカーにあったら
「ふぁ...ふ...♪」
気持ちの良い朝を迎え、眠さと戦いながら二人分の朝食とお弁当を作っている。
「姉さんおはよう」
「蓮琉、おはよう。制服似合ってるね」
起きてきた蓮琉は、僕と同じ学校の制服を着ている。
実は、今日から高校に転入するのだ。
「そう、か?ありがとう」
頬を少し紅く染めて照れる蓮琉は、16歳とは思えないほど可愛らしい。
「何か手伝おうか?」
「じゃあコップとお皿出して欲しいな。今日はフレンチトーストだよ」
「わかった」
疲れた時は甘いもの。鉄板だよね。蓮琉もフレンチトーストと聞いて嬉しそうだ。
朝食とお弁当の準備が終わり、揃って食べ始める。
「美味し〜♪」
「美味い...!」
ふわふわカリッと焼けたパンが物凄く美味しい。蓮琉の笑顔が朝から見れてお姉ちゃん嬉しいよ。
食べ終わり、荷物を纏める。先に準備が終わった蓮琉に戸締りを確認してもらい、僕は郵便物を確認する。
「あ、何か入ってる」
中には差出人不明の少し分厚い封筒が入っていた。宛先は僕だったので開けてみると、中身は僕の写真が沢山入っていた。
「何これ...」
全てカメラとは別の方向を見ており、明らかに盗撮とわかるものばかりだった。
気味が悪くなり写真を封筒に入れ直すと、中に何か入っているようでつっかえて入らない。
「まだ何か入ってる?」
取り出して見てみると手紙だった。
『大好きな明希へ
突然たくさんの写真を見て驚いたかな?どれも明希が可愛く写ってるから是非見て欲しくて送っちゃった。気に入ってくれた?
ところで、最近家に帰ってないみたいだね。友達の家に泊まってるのかな?それとも、僕以外の男の所にいるの?...もしそうなら、今すぐ別れて僕の所においで。どうせそいつは明希の良さなんて分かってない。僕の方が明希の良さを分かってあげられる。
取り敢えず、写真はこれからも送るよ。明希は絶対喜んでくれるよね。楽しみにしててね』
「...っ!」
読み終わると同時に、人型の時とは違う気持ち悪さを覚えた。顔から血の気が引くのがわかる。
「姉さん?どうしたんだ?顔色が悪いぞ?」
「!な、なんでもない!行こう!」
蓮琉に見つからないよう、写真や手紙を鞄に突っ込み蓮琉の手を引いて歩きだす。
誤魔化せてないが、こればかりは蓮琉にも誰にも言えない。
(隠し通さないと...!)
