第1章 ~ATOBE KEIGO~
唇が重なり私は内心酷く動揺していた
なのにどこか安心する自分もいた
「っ…ぁ……」
何度も啄む様に繰り返される口付けは、とても優しく、そして甘い
(何だか…クラクラする…)
呼吸が乱れてきて口を薄く開くと、そこから舌が入りこんでくる
「ふ……ぁ……」
溢れる声に煽られるように、景吾はの舌を艶かしく絡ませていく
頭がクラクラして、躰がジンと痺れて、胸の奥が熱い
(何これ…こんなの知らない…)
ボーッとする頭でうっすらと景吾を見つめると、目の前に端正な顔がある
その端正な顔から瞳が私を射抜いた瞬間、私はカクンと膝から崩れた
咄嗟に景吾が私を抱き寄せ、私は綴る様に景吾のシャツを握りしめる
「ハァ……ハァ…」
荒い息を整えながら、力の入らない手でキュッとしがみつくと、景吾のクツクツ笑う声が降ってくる
「腰砕けてんじゃねぇよ」
「………っ」
私は頬を真っ赤に染めると、景吾を見上げた
恥ずかしさのあまり、言い返してやろうと思ったのに…
「っ……!?」
景吾はスゴく優しい顔を浮かべていて
(何でそんな顔…)
私は高鳴る心臓を抑えきれずに睫毛を伏せた
「どうした?」
「…苦手だよ…景吾なんて…」
私は消えいる様な声で呟き、景吾の胸に顔を埋める
「何度も言わせんな…言っただろ、苦手じゃなくしてやるって」
耳元で囁かれた声は甘く私の鼓膜を震わせて、暫くの間顔を上げることが出来なかった