第1章 ~ATOBE KEIGO~
(俺に言わせようとしやがって…)
景吾は立ち上がると、の前へと歩み寄る
「お前は?」
「ん?」
「は行きてぇか」
は肯定も否定もしなかったが、ニッコリと綺麗に笑った
それに気をよくしたのか、景吾はフッと笑うと、の腕を掴んだ
「ぇ…きゃあっ!?」
次の瞬間、腕を引っ張られはプールへと落とされた
「っ…ぷはっ!!ちょっと…何すんの!?もう制服ビショビショ…」
顔の水を拭いながら景吾を睨むと、景吾はいつもと同じように自信たっぷりに笑みを浮かべている
「もう…」
文句を言いながらも私は景吾のスッキリとした表情に内心嬉しく思っていた
自然と口角が上がるのを抑えきれずにいると、ふと視線が絡み合う
「………どうしたの?」
疑問に思い見つめ返しているも、景吾は何も言わず、黙ったまま私を見る
その視線は何だか切ないような、熱を孕んだように見えて、私は気恥ずかしくなって睫毛を伏せた
するとスッと伸びてきた手が、繊細に私の頬に触れる
「……!」
ゆっくりと視線を上げると、私の心臓はドクンと音を立てた
濡れた服がピッタリと張り付いていて妙に艶っぽい
髪から垂れる水滴はそれに拍車をかけていて
「っ………」
頬が熱くなるのが分かる
それでも絡んだ視線を外せない
すると触れられた長い指が私の張り付いた髪を頬から退ける様に撫で、思わずビクッと体を震わせた
「…まだ俺のコト苦手か?」
「ぇ……」
切なげに、低く呟かれた内容に言い淀んでいると、顎を掬い取られ唇が重なった