第1章 ~ATOBE KEIGO~
学校の帰り、一人帰っていた私は、小刻みいいクラクション音に視線を向けた
「ミカエルさん!」
運転席のウィンドウを開けたミカエルさんが、こちらに頭を下げる
私は近寄ると、同じように頭を下げた
「こんにちわ、ミカエルさんお一人ですか?」
「私用で出ておりましたら様を見かけたものですから。今お帰りですか?」
「部活が早く終わったので…少しプラプラしてました」
「左様でございますか。…宜しければですがこの後、お暇ですか?」
「え?」
「旦那様の取引先の方から美味しいお菓子を頂きまして、食べにいらっしゃいませんか?」
「…いいんですか?景吾に確認取らないといけないんじゃ…」
「今日の様は私のお客様です。構いませんよ」
ニコニコと穏やかに微笑むミカエルさんに絆され、私は頷いた
ミカエルさんの運転する車に乗り、景吾の家に着くと、景吾の姿は見当たらない
「…景吾はいないんですか?」
「いらっしゃると思いますよ。私が出かける前はいらっしゃいましたし…多分、あそこにいらっしゃるかと…」
「あそこ?」
ミカエルさんに着いていくと、広いバルコニーの先に屋外のプールが見えてくる
(やっぱりプールとかもあるんだ…)
私が唖然としていると、ミカエルさんの足が止められる
「ほら、いらっしゃいました」
目線の先には、プールサイドに備え付けてあるウッドチェアに座る景吾の姿
背もたれに体を預けながら、どこか遠くを眺めているような雰囲気は、声を掛けるのを躊躇わせる
(あれ…何か…)
私の違和感を感じ取ったのか、ミカエルさんが振り返る
「最近、景吾坊っちゃんはああやってずっと何か物思いにふられていて…何かご存知ですか?」
その言葉に私はある一つのコトを思い浮かべた