第1章 ~ATOBE KEIGO~
を送った帰り、走る車の中から景色を眺める
「っ………おい止めろ!!」
「景吾坊っちゃんいかがされまし…」
「少しココで待て」
止められた車から降りた景吾は、錆びれた商店の前へと向かっていった
(あの景吾坊っちゃんが…)
車から見つめるミカエルの目には驚きの表情と共に、感動さえも浮かんでいた
(あのようなお姿…やはり様の言う通り、まだまだ子供だったのですね)
暫くして景吾が車へと戻ってくる
「待たせたな。出せ」
「景吾坊っちゃん…喜んで頂けるといいですね」
「アーン?…うるせぇよ」
景吾の手の中には、ピンクのウサギが握られていた
次の日、キャーキャーと黄色い声が聞こえてきて、私は後ろを振り返った
「景吾、おはよう」
「ああ」
それだけ言って先に行こうとすると、グイっと物陰に引っ張られる
「わっ…何?」
「ほらよ」
ポンと投げられた物体を慌てて受け取る
「ぇ…これ…」
「昨日のとは違うが似てるだろうが。それで我慢しとけ」
確かに昨日のウサギとは違うが、ピンクでよりフワフワしていて可愛らしい
「これ…どうしたの?」
「…見つけた。言っとくが偶然だからな?偶然別のUFOキャッチャーがあったんで唯の腕ならしだ。やはりあのアームはポンコツだったな。それは簡単に…」
饒舌に語る景吾だったが、思わず言葉を失う
それは、が今まで見たことのないくらいに満面の笑みを浮かべていたから…
「どうしよ…すっごくすっごく嬉しい!!ありがと景吾っ♪」
「っ………」
「大切にするね」
「ああ…」
はニコニコ微笑みながら、教室へと駆けていった
「………可愛いじゃねぇの…」
景吾は口元を掌で押さえながらポツリと呟いた