第1章 ~ATOBE KEIGO~
数日後、部活が休みの日、私達はセミが鳴く声の中、公園にいた
「……本当にこれが一般的なデートなのか?」
「そうだけど?」
「………?ただ暑い中、アイス食ってるだけじゃねえの」
「棒アイス初めてなんだよね?」
「そうだが…」
「景吾が言ったんでしょ?庶民のデートがしてみたいって。学生なら公園デート」
「だがなぁ…こんなにセミがうるせぇと話どころじゃねぇだろうが」
「……ま、いいけどね。こういうのは恋人同士じゃないと分からないと思うし」
「今何つった?」
「だから恋人同士じゃないと。お互いに好きだったら場所なんてドコでもいい あなたさえいれば…ってなるでしょう?」
「…俺とお前は恋人だろうが」
「は?それはパーティだけのフリで…」
「誰が辞めていいつったよ」
「あのね~…」
「恋人だったらせいぜい俺を退屈させないように頑張るんだな」
ビックリして二の句が告げない
どこまで俺様なんだか…
(でも…なんか…子供っぽい?)
ワガママな駄々っ子みたいで私は次の瞬間には、怒りを通り越して笑っていた
「何だよ」
「別に?なら…行こっ♪」
私は景吾の手を握ると、ベンチから立たせた
「ドコへ…」
「デートの続き!!…恋人同士なんでしょ?」
「!!……ああ」
口角を上げる景吾に笑みを返すと、私は繁華街へと景吾を引っ張っていった
「ココは?」
「ゲーセン、ゲームセンター」
「ゲーセン…」
「やっぱり知らないんだ…」
私は中へと入るとキョロキョロして一つのゲームに目を止めた
「これしよっ」
「何だこれは」
「画面に映る車を操作してタイムを競うの。レーシングゲームだよ」
私はお金を入れると景吾を座らせ、自分も隣に座った
「足元のレバーがアクセルとブレーキね、じゃあ…スタート!!」
「おい、それだけの説明で…」
急に始まったレースに私は思いの他楽しんでいた…のに…