第1章 ~ATOBE KEIGO~
家へと送られる中、は窓の外を眺めていた
(ずっと隠してきたのに…バレちゃったかな…)
フゥと息を付き、心地よい揺れから目を瞑ると、前から自分を呼ぶ声が聞こえた
「………様、様?」
「あ、ハイッ!?」
「申し訳ございません。お休みでしたか?」
「いえ、目を閉じてただけです。えーっと…ミカエル…さん?」
運転している髭を蓄えた恰幅のいい男性。60歳くらいだろうか、優しそうな眼差しでミラー越しに目が合った
「はい。景吾坊っちゃんの執事をしております三上です」
「三上…さん?」
「はい。ですが皆さんはミカエルと。景吾坊っちゃんが、幼い頃からそう呼んでおりますので…」
「(三上だからミカエル…)フフッ!!」
洋式が好きな彼の考えそうなコトだ
私は思わず笑ってしまった
「あ、すみません。つい…」
「いいえ構いませんよ。様もミカエルとお呼び下さい」
「あの…その様って辞めて頂けませんか?お嬢様でもないのに、皆さんからそう呼ばれると…」
「それは出来かねます。貴女様は景吾坊っちゃんの大切な方ですから…」
「大切?いえ、私は…」
「最近の坊っちゃんは、色々な表情をされます。特に様といらっしゃる時は凄く楽しそうで…」
「(それは…単にからかう対象が出来たからじゃ…)ん?色々な表情って…前は違ったんですか?」
「ええ…坊っちゃんのご両親は海外を飛び回っておりまして、そのせいかご成長も早く感情をあまりお出しにならないのです」
私はパーティーでのコトを思い出す