第11章 闇 終
カカシは、リビングのなかに入った。電気はついたままだった。
いつもの変わらない部屋。
父さんがいた場所も、ほとんど血の跡は残っておらず、綺麗に拭き取られていた。 カカシは、キリさんに感謝していた。心のそこから。
「カカシ、夜ご飯食べよっか? 茄子の味噌汁と、秋刀魚の塩焼きが残ってるんだよね?」
お邪魔しまーす。 と入ってきた花奏。
まだ食べるわけ?
「ああ、うん、じゃあ、いっしょに準備……」
そうカカシが言ったときだった。
ダンダンダン……
ドアを叩く音。
カカシと花奏は、玄関に向かう。
ドアを開けると、1人の暗部が立っていた。身長からして、10代前半。獣面をつけたまま。
腕組みをして、
部屋の様子を見ていた。
「カカシ、ヤナギをかくまっていないな?」
カッと熱くなった。
突然、この男はなにを言い出すんだ。カカシの口調はきつくなる。
「いるわけないでしょ。 ヤナギがどーしたんですか?」
「ならばいい。 万が一、ヤナギが来ても断れ。 いいな?」
カカシの質問には答えずに命令口調である。焦りさえ滲んだ様相だ。
「ヤナギはいないんですか?家に……」
花奏は、暗部の人間に
食い入るように聞く。
隊長の子ども。
つい、暗部の者は口を滑らす。
「アイツどころか、家はもぬけの殻だ。 買い物袋は廊下に転がっていたがな」
暗部の男は、「他言するな」と口止めをして、街の方へ消えた。