第11章 闇 終
「父さん!!」
カカシは、つなぐ手を離して駆け出す。
自宅のドアから、青いビニールシートに覆われたサクモが、暗部に運ばれていく。
近くに駆け寄ったカカシ。 手をつないだ。 氷のように冷たく固まっていた。握り返すことはない。
「父さんをお願いします……」
カカシは、運ぶ暗部の人に言う。
家の周りには、ひそひそと話す、人集りが出来ていた。
カカシの背中から聞こえる声。
小さく話す声は低くなる。離れていても、意外と耳に入ってしまう。
ーー自殺ですって……
ーー嘘……
ーーやっぱり……最近見かけなかったのよ。
ーーあの子どうするのかしら……
カカシは、黙ったまま。
すると、1人の暗部が、こちらを振り返り近づいてくる。 獣面を外した男は、カカシの頭を大きな手で優しく撫でた。
「カカシ。サクモさん、借りて行くからな。今日は、ゆっくり休め。 部屋は、大体片付けておいたよ」
「……ありがとう、ござい、ます、キリさん……」
カカシは、言葉がつまって、うまく言えなかった。
「花奏、今日は帰れそうにない。 カカシといてやれ」
「うん、わかった」
花奏の頭も撫でたキリは、獣面をつける。
「おし、撤収。 戻るぞ!」
そう号令をかけると、
暗部たちと一瞬で消えた。