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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第11章 闇 終


カカシは、湯気が立ち込める肉まんを、はむっと口に入れる。

「アッつ!」

肉汁が熱すぎて舌が痛い。

なに笑ってんだよ。

「だから、できたてだって」

花奏は、はしから、ちびちび食べながら歩く。

吐く息は白い。
綺麗な星空、金色の丸い月。


商店街を抜けて、うす黄色い電灯が、
夜道を歩くふたりを照らした。

肉まんを食べながら、カカシは口を開く。


「花奏、なんでオレを責めないわけ?聞いてたでしょ?」

口調はいつもより
低いトーンだった。

オレがフジさんと、
ヤナギに放った言葉。

言葉の暴力を。


「最低だとか、なんであんなこと言ったの、とか、信じられない、とか、なんかあるでしょ?」

カカシは、肉まんを飲み込んで、腹のなかが熱くなった。ついでに顔も熱くなった。 なにか言って欲しかった。責めてほしかった。


「さいてい。 なんであんなこといったの。 しんじられない」



棒読みだった。
一瞬、間があいたあと、
カカシが慌てて言う。


「……いや、待ってよ。オレがいま喋った言葉でしょ」


歩く花奏をみた。ぱくぱく、肉まんをかじるだけ。目をみた。
困ったような顔。

「そこにいなかったから、わからない……かな。 それにカカシは分かってる。 私がカカシなら、たぶん言ったことを後悔してる。 そう?」

「……うん」

言って清々した……
なんて気持ちじゃない。

「でも」と言う花奏。

「私がカカシなら、もっとヒドイこと言ってる。 泣いて泣いて、グーで殴りかかってるかも。 父ちゃんが死んだらって思ったら、……そんな言葉で終わらない。 そう思うよ」

花奏は泣きそうな表情を浮かべる。

「あ、でもね!」

目を手でふいて、えくぼをつくる。

「サクモさん、カカシが好きだったよ。 カカシみるとき、優しそうにいつも笑ってたの。 絶対そうだよ」

花奏は、それに!と続ける。

「私も、三代目も、みんなカカシが好きだよ。 だからだいじょうぶだよ」

「なにが、だいじょうぶなのよ。 アバウトだよね。 根拠がない」

がぶっと肉まんを食べるカカシ。

いつのまにか離していた手。



カカシは、

反対側のあいた手で、

ぎゅっと

花奏の手をつないだ。

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