第19章 記憶
「3代目、変だったな…」
「そう?」
「ちょっと調べてみるかな」
「カカシ、やめなよ。怒られるよ?」
「大丈夫でしょ。ちょっとぐらい」
カカシの声が本気っぽい。
ぜったいドヤされるパターンだ。
2人で並んで帰いている。真夜中の並木道に電灯が照らした。カカシは、となりで普通にポケットに手を突っ込んで歩く。
「それさー、イタチのじゃない」
着ているコートを指さされた私は「えっ」と焦りだす。
「ちょうど身長同じくらいだし……貸してくれたし……いや、くれたのかな?いいかなーとか」
「よくない。お前、それは使うな。新しいヤツ買ってやるから」
「え、いや、悪いし…」
「…良いの!わかった?」
「う、うん」
ぐしゃと頭を撫でたカカシは前を向く。私は彼にふれたい気持ちが溢れる。
彼はポケットに手を突っ込んでる。
だから手を繋げない。
私は自然と腕に手を伸ばした。
カカシの腕に片手でそうっと掴んだ。
「っ!?」
私が腕を触ると、カカシがすぐさま腕を払った。
どちらかと言えば、虫がついて払い除ける感じだ。
「ちょっ!ビックリした。
お前なにドサクサに紛れて腕組みしようとしてるのよ」
「……良いじゃん。手、つなごう?」
「やだね。オレは外じゃ、しないって決めてるの」
嘘をおっしゃい。アカデミーでチューしたくせに。したくないなんてキッパリ言うカカシ。私は半眼で口を尖らした。
「はいはい。わかりました。けっこうです」
ふんだ。カカシのバカ。私はカカシより歩く速度を早めた。私ばっかり。
「あー、もうーー!
わかったって。わかったから!」
「なにがわかったの?」って聞こうとしたら、手を掴まれた。そのまま指を絡ませたカカシは困ったように笑う。
「ほんと、オレ、お前に甘いわ」
手袋を取って
素手で繋いでくれている。
あたたかい指が絡まる。
私よりも大きくて長い手。
私は自然と、ふふふ、と笑ってしまう。
「…人前でつないだりするの、イヤなんじゃないの?」
「んー、イヤだね。ま、夜中だし。だれもみてないでしょ。こんなことしても」
蛍光灯の下じゃ、影は深くなる。
カカシは口布をさっと外したあと、
私の唇をふわりと奪った。