第16章 小さな手
「ただいまーー」
サスケが戸口をぐったりして開けた。大きな荷物を抱えている。
後ろから、イタチが赤子を抱いて玄関口をまたいだ。
「おかえり。 あら、かわいい赤ちゃんね」
うちはイタチとサスケの母、ミコトが、小麦色のエプロンをつけて2人を出迎えた。
「いらっしゃい。名前は?」
事前に話は聞いている。ミコトの顔に驚きはない。イタチに抱かれた赤子を、ひょいと軽く引き寄せた。2人を育てた経験があるせいか、赤子を抱く動きに慣れがあった。
「花奏という名前だ」
イタチは靴を脱ぎ、揃えて端に置いた。
「へー、かわいい名前ね」
ミコトは花奏に顔を
近づけ微笑んだ。
久しぶりな感触で、ずっしりと重みがある。小さなあんよを可愛く動かす赤子。自然とミコトに笑みがこぼれた。
「あーー……重たかった。何が入ってんだよ」
サスケは、どさりと、大きな音を立てて、大きな鞄を玄関の上がり口に置いた。7歳のサスケには、少し重たかったようだ。
「ああ、すまない、サスケ」
イタチは、置かれた鞄を軽く抱え、玄関の上がり口に上った。
「確か……暗部に……似たような名前の子がいなかったかしら? カカシの隣にいた子も、そんな名前よね?」
ミコトは廊下を歩き、後ろにいるイタチに聞いた。
カカシは暗部ろ班隊長だ。木ノ葉の一、二を争う実力者。
うちは一族ではない者が写輪眼を使い、コピー忍者と呼ばれ、他里にまで名を轟かせている。
うちは一族の内部で、血統以外の人間が写輪眼を使うことに反発する者が、少なからず存在する。
その写輪眼を持つカカシの隣にいる花奏にも、自然と注目がいった。ましてや他里から来た者だ。ミコトも名や顔は認知していた。