第16章 小さな手
問われたイタチは
静かに首を横に振る。
「名前は特定出来ていない。ただ……、手がかりは掴んでいる。木ノ葉の店に通う売人の女に渡したと。高く売れた、と喜んだ顔で言ったようだ」
高く売れた……。店……。
羽振りが良い客ってことね。
「んー、なるほどね……。こういうときのお店って、だいたい夜に賑わうお店でしょーね」
闇市場に売る気か?裏で大麻やコカインに手を出すように、媚薬が売買に使われては非常に危険だ。特に今回の媚薬は相当厄介な物だ。
素人が手を出して良い代物ではない。早急に対策を打たなければ、死人が出てしまう。
後手後手に回れば、後々厄介だ。カカシは悩んだ。少ない暗部。すぐに抑止力に繋がるモノが必要だからだ。
しばし沈黙の後、カカシが言った。
「三代目、……新聞に号外を出しましょう。薬物を取り扱うビンゴブックに載る男が捕まったと。薬物を使用した詳細も克明に」
「……号外か……、それが役に立つのか?」
カカシは「はい」と頷いた。
「ほとぼりが冷めるまで、売買に使わないとオレは思います。号外後、暗部の忍達が、夜の店を巡回し、堂々と警戒している。そんなときに、媚薬を売買に使えば、簡単に足がついてしまいますからね」
とカカシは補足した。
「ただ、相手も早くさばきたいはずです。そうなれば、潜入捜査も必要になってくるでしょう」
間を開けたあと、猿飛ヒルゼンは、机に置かれた巻物を取り出した。
「良かろう。では、すぐに手配する。 カカシ、明日にでも暗部を招集し、巡回しろと伝えるのじゃ」
と猿飛は筆を持ち言い放った。