第16章 小さな手
猿飛ヒルゼンは、ここにいる人間には隠せまいと息を出し、ひたいをかいた。
「花奏じゃ……だが、他言しないように頼む」
元はと言えば、
猿飛ヒルゼンの責任である。
がっくりとうなだれた。
「……え!!?……花奏先輩!? いったいどうして……」
頭がパニックなテンゾウ。イタチも思わず顔を軽く引きつらせている。
「……うーん、まあ、過ぎたことは仕方ないし。当分ね、オレら3人でお世話しなきゃなんないんだよねー。 テンゾウのときは、オレの家に泊まりなよ。好きに使っていいから」
「ほ、本気で言ってますか、カカシ先輩!!」
赤子の世話なんかしたことがない。テンゾウは狼狽した。出来るのか自分に……!?
「テンゾウ、あのね、声を落としてちょーだいよ。花奏が起きちゃうでしょ?」
いつの間にか、カカシの腕の中で眠りについた花奏。目を瞑れば余計に分かるまつ毛の長さ。膨らんだほっぺが可愛い。息を吸うたびにお腹が膨らんでいた。
「イタチ……、お前の家で花奏を見ることは可能か? 弟の物が残ってるんでしょ?いけるか?」
カカシはイタチに打診した。テンゾウとカカシ2人で回すのは、さすがに困難だ。
3人が任務を被らないように、シフトを変更すること可能だが、カカシとテンゾウを被らないように調整するのは難しい。
イタチは花奏をじっと眺め、口もとがほんのりと緩まっていた。
「大丈夫だと思う。 オレは弟を面倒見続けてきたので」
とイタチ。
「そうか。悪いね、ありがと」
まさか快諾してくれると考えていなかったカカシは、
目を細めて嬉しく思った。