第16章 小さな手
ミルクを飲みきった花奏。哺乳瓶をソファの前にある机に置いた。
縦抱きにかえて、花奏の背中をぽんぽんと軽く叩いたり、さすったりした。小太鼓みたいな音がする。
ぽんぽんぽん……。
出てこない。
カカシは
辛抱強く背中をさすった。
すると、「ゲフッ」と耳元で音が聞こえ、
「あ、出たね」とカカシは花奏の首を手で押さえて顔を見た。目がほんのり笑って見えた。
ゲップを出した花奏。
カカシは安堵の表情で
そっと元の横抱きにもどした。
「三代目……これはいささか、マズイ状況ですね……」
カカシは猿飛に目を向けた。いつ戻るか分からないこの状況は、大変よろしくない。
「しばらく……この姿か、もしくは徐々に戻っていくか、どちらかじゃろうな」
椅子に肩を落として座った猿飛は、キセルを吸おうとした手を止めた。赤子がここにおる。禁煙さえ一瞬、猿飛の頭によぎった。
「? カカシ先輩……しかし、誰なんですか?この子」
テンゾウが2人のやりとりに目を丸くして、赤子を見た。この姿? 誰だ? 頭をひねったが、出てこない。