第16章 小さな手
長袖のふわふわの青のロンパース。胸の部分にはクマのワッペンが付いている。スタイも付けてあげた。
よだれで口が光る。服を着れて嬉しそうな花奏は、自転車をこいでるみたいに手足を動かした。
「はいはい…、どっこいしょ……」
脇の下に手を入れて抱っこをした。頭を手のヒラで抱えて、フラつかないように。重さは4キロ弱…。生後1カ月半程度過ぎたぐらいか……。温かい身体にふれた。甘い赤子の香りが近くにある。少し首がすわった状態だ。カカシは横抱きにした。
常に誰かが花奏の面倒を
見なければいけない。
チャクラを腹に集め、
「解」と言えるまで。
カカシは困った。ヤナギはいない。暗部新人2名も失った。そして花奏も赤子になってしまったのだ。
そうこうしてるうちに、イタチとテンゾウが戻ってきた。
「はい、カカシ先輩」
「ああ、悪い。テンゾウ 」
人肌に温められた哺乳瓶を受け取り、花奏の口もとに透明な乳首を持っていった。
パクパクとして口を開けている。大きく開けたとき、乳首を口に入れた。こくこくと飲み始める花奏。
口布の中で、カカシの口は緩んでいた。飲むと哺乳瓶の中のミルクから、ぷくぷくと泡が出る。さっき食べた気がするが、腹が減っていたのだろう。あっという間になくなっていく。
子育てをしたことはないカカシ。赤子に触れる機会さえ乏しい。小さくなった花奏の姿を愛らしく見つめた。