第16章 小さな手
「さてと……」
ロンパース、インナーをソファに置いたあと、オムツのテープを外した。キャラクターが描かれた紙おむつ。裏表を確認したあと、紙おむつをインナーの上に広げた。
赤子の人体は、アカデミーの授業や上忍試験の勉学で学んだが、実践は初めてだ。出来るのか分からないが、やらなければならない。
覚束ない手で花奏の身体を抱き抱え、前びらきのロンパース、インナー、オムツをセットした場所に寝転ばした花奏。
コートを外した。頭が大きくて手足が小さい。すっぽんぽんだ。
カカシは、急いで紙オムツをつけようとした。足や手をバタつかせて、なかなか紙オムツを履かせれない。動いて動いてズレてしまう。なかなかインナーを着せれない。
「ちょ、ちょっと、花奏!
ちゃんとしてよ」
何を赤子に言っているのか。パックンは怪訝に見守った。
「大丈夫……か?」
三代目も席を立ち、近くに寄ってきた。前びらきのロンパースの腕部分に、手を通すことすら大変だ。
「ぁあー……もう、大人しくしてちょーだい」
カカシは思わず
赤子に頼んでしまう。
前びらきのボタンを、ぱちんぱちんと止めて、最後の足の部分に到達した時、カカシの背中は、ぐっしょりと汗をかいていた。
「ぁぁあーーー……出来たー、やっと……」
服を着せるだけで大変だ。足をげしげしと動かし、カカシの手を力強く蹴っている。元気だね、お前……。
ふぅ…とカカシは息を吐いた。