第16章 小さな手
20分後、テンゾウとイタチは戻ってきた。両手に大量の紙袋を持つテンゾウは、げっそりとお疲れの様子だ。
「あーーもーー、センパーーイ!全然ボクは分かりませんよ。とりあえず店員さんに選んでもらいました」
ソファに紙袋をドサドサと置いて、がくっと中腰になった。カカシはすぐに近寄り、紙袋の中身を見た。Sサイズのオムツ、哺乳瓶、ミルク缶、もう片方は大きなベビー布団一式。すまない……。頭で謝った。今日は休日なのに、申し訳ない気持ちだ。
「テンゾウ、ありがとな。 悪いけど、すぐにオムツ出してくれる?」
ふにゃふにゃ言う花奏を紙袋を置いた反対側のソファに寝転ばせた。まだ寝返りが出来ない状態だ。見守っていれば、手を離しても落ちる心配はない。
「カカシさん、服を持ってきました」
イタチは紙袋に入ったインナーとロンパースをカカシに渡した。中身を確認した。前びらきで青い男の子用だ。背中にうちはマークがついている。
「サンキュ、イタチ。助かる」
受け取ったカカシは着替えさそうとしたが……赤子といえど、裸体を見せたくない。だが、そんなことを言ってる場合ではない。
「あ……、悪いんだけどさー、テンゾウ、ミルク作ってきてくれない?」
申し訳なさそうに、カカシはテンゾウに言った。
「えーーー、ボクがですかぁ?? やり方、本当に分からないんですよ」
イヤーな顔をした。テンゾウの肩に、イタチが触れた。
「テンゾウさん、サスケで子育てをやっていた。オレは知ってる」
「イタチ、お、頼りになるな。テンゾウに教えてあげてよ」
「はい」とイタチ。
テンゾウは狼狽している。しかしカカシの頼みだ。覚悟を決めたテンゾウは、紙袋から、哺乳瓶、乳首、ミルク缶を取り出した。
「では、作ってきます」
とテンゾウ。
「うん、頼むね」
カカシは2人を見ないで手を動かした。2人はミルク缶と哺乳瓶を持ち、火影室を出た。