第1章 貴方の背中を追いかけて *ジャン シリアス/死ネタ
人間そういう時は嫌な予感がするものだって誰かが言っていたはずだったけど、私はそんな繊細な心を持ち合わせていなかったのか、あの日はいつものように壁外調査に向かったんだ
撤退命令の直後、木の陰から突如現れた巨人
その手に…掴まれる
そう思った刹那、腕が引かれ振り返ると私の居たはずの空間には彼がいた
奴の大きな指が彼に触れる
彼と、目が合った
「なぁ…忘れんじゃねぇぞ、。
オレはお前を…愛してた。」
信煙弾と兵士たちの叫ぶような声、鳥が一斉に羽ばたく音
沢山の音があったはずなのに、それはあまりにも鮮明に耳に届いた
優しい、優しすぎる声
何が起きたのかわからなかった
ただ最期まで、彼の顔を見つめていた
私を掴んだはずの彼の腕が地面に落ちる音で、身体は時間を取り戻す
その時頬を流れた冷たい感覚は、今でも消えない
その後のことで私が覚えているのは、馬車の荷台で彼の右腕を抱きしめていたことだけ
私があの巨人を斬ったこと
地面に降りて何かを抱え叫ぶ私を、ミカサが連れ帰ってくれたことを、後から聞いた