モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第15章 金の雛鳥と弟
3人の頼もしい仲間に感謝して次の指示を出す。
「取り敢えず、蓮琉は玉狛へつれて行く。修と藍が護衛兼案内役だ」
「...」
蓮琉が不安気に俺を見つめる。知らない場所が少し怖いようだ。
「大丈夫、玉狛は安全な場所だ。ボーダー内でも近界民に理解があるやつばっかだし、何なら仲良くしたいって思ってるやつの場所だ。蓮琉は敵だったとは言え俺の大事な弟だし、説明したら暖かく迎えてくれる」
「...わかった」
「良い子だ。終わったら直ぐに戻ってくるから、玉狛の人の言うことちゃんと聞くんだぞ?」
コクリと蓮琉が頷いたのを確認して、修達に連れて行くよう指示する。
俺と太刀川さんは本部へ向かうフリをしながらトリオン兵を倒していく。先程途中ですれ違った鋼ってやつの手助けもついでにやった。
「この辺りはもういねぇかな」
「次南行くぞ」
「おう....待て!」
走りだそうとした太刀川さんを止める。
近くの建物の屋上から、淡く発光した鳥が飛んで来るのが見えた。ただの鳥じゃないのはすぐにわかった。
目を凝らして鳥の発生元の近界民を認識する。
少しくすんだ青い髪に、高めの身長。
「あいつ...!」
「また人型か。余程明希を気に入ってるみたいだな」
「全く嬉しくねぇな」
話の中心だった人型がこちらの目の前まで下りてくる。
「久し振りだなおじさん。俺を浚ってどうする気だ?」
「私を覚えているのか。隠れていたつもりだったのだが」
「俺のSEで偶然見つけたんだよ。家までついて来やがって」
「お前のトリオン能力は素晴らしい物だったからな。私の物にしたくなるのは当然だろう?」
「捕らえて部下にでもするつもりか?」
「いや、それは少し違うな」
は?部下にする以外で私物化って何があるんだよ。
意味がわからないと言う顔をして見せれば、何故か太刀川さんが俺を後ろへ隠した。
「捕らえて私の妻として迎え入れようと思っていたのだが」
「は!?」
「やっぱそうか。こいつは渡さねぇぞ。こっちにはこいつを大事に思ってるやつが大量にいんだ。てめぇなんかにやらねぇよ。てか歳の差考えろ」
「こちらでは歳の差など関係ない」
え、俺やだよ?おじさんと結婚とかやだよ?好きな人いないけどおじさんとは絶対やだ。
「どうしても渡さないと言うなら、力ずくで奪うまでだ。【卵の冠】」
