モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第14章 嫌な夢と侵攻
イルガーを全て落とし終わり、場所を変えようと移動しようとした時、太刀川さんに腕を掴まれた。
「あわわっ!た、太刀川さん?どうしたんですか?」
「ん~...」
掴んだ腕を引き寄せ、じっと僕を見てくる。僕の顔に何か付いているんだろうか?ってか近い。
「今日はシュウは出てこないのか?」
「へ?シュウですか?どうでしょう...本人次第ですし、仕事の時か怒った時にしか殆ど出て来ないので」
「怒らせたら出て来んのか?」
「まぁ、一応出て来ますけど...長時間は出て来ませんよ?」
「そうか」
少し寂しそうにしながら腕を離してくれた。太刀川さんは相当シュウを気に入っている様子だ。
「何なら暫くシュウでいましょうか?シュウも暴れたいでしょうし」
「いいのか!?」
「はい。入れ替わったところで戦闘力が落ちるわけじゃないので」
そう言って『僕』の意識を落として『俺』を目覚めさせる。
何故か強制的に入れ替えられた俺は、現状の理解で頭が一杯だ。
「...あ?太刀川さん?久しぶり?ってか、侵攻中じゃねぇの?こんなとこで入れ替わって大丈夫なの?」
「シュウ!一緒にトリオン兵倒しに回ろうぜ!」
太刀川さんの突拍子もない発言に目が点になる。
「へ?」
「トリオン兵倒しに回ろうぜ!」
「いや良いけど、太刀川さん1人で十分じゃね?俺いる?」
「いる!張り合えるだろ?」
ガキか。トリオン兵討伐数って、競うことじゃねぇだろ。まぁやるけど。
「ってか、俺じゃなくて明希でも良かったんじゃ?」
「何言ってんだよ。俺はシュウのがいいんだ。シュウの方が遠慮ねぇし、楽だ」
そう言って俺の頭をポンポンとする。ここが戦場じゃなかったらどこの少女漫画だよって突っ込んでたな。
「そりゃどうも」
取り敢えず今の場所から移動を始める。忍田さんからの伝言で、東部地区に行けと言われていたらしい太刀川さんに付いて行けば、まだトリオン兵がうじゃうじゃといた。
「「競争にはもってこいだな」」
どちらからともなく発せられた言葉に、アイコンタクトでスタートする。
同時に走り出した俺達の後ろには、次々に潰れたトリオン兵の山が出来ていった。
ここら一帯のトリオン反応が消えた事を確認して、南西地区へ向かう。確か修や遊真がこの地区にいたはずだ。さっさと片付けて応援に行こうと1人胸に決めて、先程と同様に処理を開始した。
