モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第13章 つかの間の平和と新たな脅威

悠一の未来視と干渉して聞こえた声はノイズがかかっていて聞こえ難かった。それでも何とか聞こえた5つの単語。「新しい神」「金の雛鳥」「黒トリガー」「ミラ」「回収」。この単語を聞いた遊真君はどう考える...?
「この5つの単語、関連性についてはわかりませんが、遊真君とレプリカならどれか1つでも聞き覚えがあるのではと考えます」
「何かわかるかね?空閑隊員」
遊真君は少し考えて、ハッキリと答える。
「俺の未来から聞こえたっていう「新しい神」は多分、アフトクラトルの事だと思う」
『私もユーマと同じ考えだ。
アフトクラトルは先程も言ったように神の国と言われている。ユーゴの記録によれば、神と言うのは主に「母トリガー」「女王トリガー」と呼ばれる、とてつもなく大きなトリガーの生け贄にされる人物の事のようだ。
私がわかるのはここまでだが、おそらく今の神の寿命がもうすぐ終わるために、急ぎで「新しい神」が必要なのだろう。だからこちらの世界に攻め込み、「新しい神」となる人物を見つける。「金の雛鳥」と言うのはおそらく、それに相応しい人物をこちらの世界に見つけたと言う事だと思われる』
偶々拾えた単語でここまでの事がわかるのか、と感心する。それと同時に、「金の雛鳥」に相応しい人物を見つけたと言うことに驚きが隠せない。
『あくまでも推測でしかないためあまり深く考えないでほしい。...他に聞きたいことなどはあるか?』
「アフトクラトルが攻めて来ると仮定して、次に知りたいのは相手の戦力と戦術、特に重要なのは黒トリガーがいるかどうかだ」
『我々がアフトクラトルに滞在したのは7年以上前なので、現在の状況とは異なるかもしれないが、私の記録では当時アフトクラトルには、13本の黒トリガーが存在した』
そのあまりの多さに僕ら全員が驚きを露にする。
ただでさえ稀少な黒トリガーを13本も?中には他国から奪ったものもあるだろうが、いかんせん量が多い。
『黒トリガーはどこの国でも稀少なため、通常は本国の守りに使われる。遠征に複数投入されることは考えにくいが、先程の神の話が事実であれば、その可能性もある。万全の対策を立てておく必要があるな』
レプリカの豊富な情報により、今回の対策会議は有意義かつ綿密なものになった。
忍田さんの号令でそれぞれの仕事に戻る。
「僕らも行こう、悠一」
「あぁ。頼むぜ、相棒」
