モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第13章 つかの間の平和と新たな脅威
迅視点
「秀ちゃん!」
「...明希、と迅か。何の用だ」
秀次が落ち込んでいるのを聞いて、明希が少し話したいらしい。俺も秀次に用があるからついでだ。
「風間さんにね、秀ちゃんが落ち込んでるって聞いたから心配したんだ。それに、寝不足なんでしょ?無理しないで?」
「...気を付ける。それで、迅は何しに来た」
相変わらず俺には刺々しい秀次だが、話は聞いてくれるようだ。
「実はお前に頼みたいことがあるんだ」
「...!?俺に頼みだと?」
「うん、そう。明希ちょっと向こうに行ってて」
「わかった」
明希は俺に言われた通り、入り口まで戻って半話が聞こえないようにする。
「...断る。他を当たれ」
「おいおい、話だけでも聞いてくれよ。今回の大規模侵攻の流れのどこかで明希がピンチになる。その時に助けて欲しい」
「明希が...?明希は強いだろ。余程の事がない限りやられるとは思えないが?」
「そうなんだけど、マジでピンチになるんだ。その時に駆けつけられそうな隊員が、お前しかいないっぽいんだよな」
「...一応気にかけておく。未来が悪化したら玉狛に閉じ込めておけ」
秀次は立ち上がって入り口へ向かう。俺は気にせず「城戸さんに」と話を続ける。
秀次は反応して振り返った。
「一時的に風刃を返した。今回の侵攻で俺が持つのはあまり良くないみたいでさ、出来ればお前に使って欲しい。お前が俺の頼み聞いてくれるなら、俺はお前にレクチャーもする」
秀次が眉間にシワを寄せて俺を睨む。
「...あんたの一存で黒トリガーの持ち手が決まるわけがない。話はもう終わりだ」
「おまえはきっと明希を助けるよ。俺のSEがそう言ってる」
秀次はこちらを振り返らずに去っていった。秀次が明希に話が終わったことを伝えて中に入っていく。
「さて、俺たちも行こう。まだいけるな?」
「うん。まだ大丈夫。僕ももっと頑張らないとね」
悠一の期待に応えるべく、今日も本部内での暗躍に赴いた。
夜、今日の暗躍を終えて支部へ戻る。
「今日も平和だったね」
「そうだねぇ。明日も平和になるといいねぇ」
「そうだな。明日も頑張ろう」
「うん!」
帰ったら小南のチキンカレーが待っている。腹も結構空いたし、特に明希はSEをたくさん使ったから凄く眠たそうだ。
早く帰って、明日もみんなの平和のために頑張ろう。
