モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第12章 本部入隊
千佳ちゃんの顔を見てすぐに側へ駆け寄る。
「千佳ちゃん!」
「あ、明希先輩...私...壁を...」
「大丈夫、大丈夫だよ。ここの建物は全部トリオンで出来てるから、直ぐに直っちゃうよ。だから千佳ちゃんが気にすることないよ」
小さな体をカタカタと震わせる千佳ちゃんを優しく抱き締めて、落ち着くように声をかける。少し落ち着いたようで、もう一度賢とロン毛の人に「すみません」と謝った。 何故か土下座で。賢も何故か土下座し返していた。
「賢が土下座してどうするの?ほら、立って?千佳ちゃんも」
「あ、はい」
「はい」
「賢は現場監督として責任を負うけど、僕もフォローするから」
「明希ちゃん先輩~ありがとう~」
「泣かないの」
賢を撫でてやると、入り口から鬼怒田さんが血相を変えて部屋に飛び込んできた。
「何だこれは!一体どうなっとる!?何故穴が開いとるんだ!?誰がやった!?」
鬼怒田さんの怒鳴り声もう少し小さくならないかな。結構響くんだけど。
賢が困っている千佳ちゃんの前にスッと立ち、訓練中の事故だと言った。
「全責任は現場監督の僕にあります!」
「その通りだ!!防衛隊員が基地を壊してどうする!!」
「あれぇ、これが正解じゃないの?」
賢が鬼怒田さんに襟を掴まれてガクガクと揺らされている。
「すみません!私が壁を壊しました!」
「何...?東君本当かね!?」
東と呼ばれたその人は、先程のロン毛の人だった。よくよく見ればダンディーな感じがする。
「それは事実です。彼女がアイビスで開けました。玉狛支部の雨取隊員です」
「何だと...!?玉狛の...!?」
「鬼怒田さん、僕が頑張って防いだんですけど守りきれませんでした。千佳ちゃんはまだC級ですし、こんなに威力が出るとは思ってなかったんです。どうか許してあげてください」
僕のお願いを聞いてか、鬼怒田さんの怒りが消えていった。そして千佳ちゃんの頭にそっと手をやり、なで始める。
僕のお願いじゃなくて、千佳ちゃん本人なのね。僕のフォローの意味...。
あぁ言うのって世間では何て言ったっけ?えっと確か...
僕が思い出している間に、修君と遊真君が入ってきた。
それと同時に賢が「鬼怒田さんはロリコンだった...!?」と驚きを露にし、東さんに訂正されていた。
ロリコン?...それだ!ロリコンだ!スッキリしたぁ。
