モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第11章 本部精鋭部隊と雷刃
しっかり腰の入った太刀筋に、どこか忍田さんの面影を感じる。忍田さんの弟子とはいえ、ここまで似るものなのだろうか?
一撃一撃にしっかりとした重みがあり、それでいて切り返しが速く、隙がほとんどない。
一旦少し離れて呼吸を整える。
「良い腕してんじゃん。太刀川さん」
「お前も、俺の剣を全部受けるやつなんざ初めてだ。受けてばっかじゃなくて、もっとガツガツ来いよ」
「今は様子見だ」
「どこまでも余裕の態度は崩さねぇんだな」
「焦って相手のペースに持ち込まれれば、最高の状態が維持できなくなる。それを防ぐための余裕と挑発だ」
「お前、根は良い奴なんだな」
「...は!?な、なに言って...」
太刀川さんの唐突な誉めに驚く。
トリオン体に顔が赤くなるような機能は無いが、思わずそっぽを向いてしまう。
人格が変わっても誉めに弱いのは変わらない。やはり、元が一緒だからだろうか。
「...お前も照れたりすんのな」
「う、うるさい!黙れ!」
あぁもう最悪だ。この人に俺のペースの乱れさせ方を知られてしまった。無心になって戦おう。うん。そうしよう。
「それより、続きやるぞ!様子見は終わりにして俺からやってやる」
「かかってこい」
素早く太刀川さんの目の前まで行き、雷刃で薙ぐ。
太刀川さんは咄嗟に反応し、弧月で防ぐが弧月の刃が少し欠けてきている事に気付いた。
「刃が欠けてる?」
「俺はトリオン量が尋常じゃないからな。黒トリガーの強度も普通とは桁違いに硬い。ノーマルトリガーは大体欠けるか折れるぞ」
「マジかよ」
雷刃を戻して少し離れる。今度は正面から突きに行くと見せかけて、地面に刺してそれを軸にして太刀川さんに蹴りを入れる。今度はキレイに決まった。
「まさかの蹴りかよ...お前ケンカ好きだろ?」
「好きって言うより、俺の得意分野になってる。明希が絡まれたときは直ぐに入れ替わって俺がやっつけてる。勿論証拠は残さねぇ」
「流石だな」
その後もガンガンと戦いは続き、最終的には太刀川さんのトリオン切れだった。
「トリオン切れかよ...くそぉ」
「お疲れ、太刀川さん。次やる時は多分明希の時だ。明希は良い子だからあんまからかってやるなよ」
「やっぱお前良いやつだな」
「うっさい!死ね!」
そう言って太刀川さんの首を飛ばしてやった。ふぅ、スッキリした。
さて、悠一の所に戻りますか。
