モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第11章 本部精鋭部隊と雷刃
「玉狛に向かおう」
風間さんがそう言うと、悠一はため息をつく。
「やれやれ...やっぱこうなるか」
そう言うと同時に風刃を起動し、壁伝いに菊地原君の首を飛ばす。
「仕方ない。プランBだ」
「悠一、約束通り使うからな」
「いいよ。思いっきりやっていいからな」
「トリガー解除」
生身に戻ると、長い黒髪が夜風に靡く。
相手側の誰かの息を飲む音が聞こえた。
「…女?」
「太刀川さん、ちょっと失礼じゃない?明希とシュウは2人とも女の子だよ」
悠一達の会話を他所に、ズボン横に付いているポケットから、黒いトリガーを出して起動させる。
「雷刃起動」
起動させたトリガーの持ち手部分長くなり、その先から刃が出て来る。
その刀身は黄色く光っており、一見弧月の改良版に見えなくもないが、れっきとした黒トリガーである。
「それは、黒トリガー...!隠していたのか!」
「これは俺達の大切な人が遺してくれたモンだ。城戸さんに話してたら取り上げられるのが目に見えてたから、わざと言わなかった。でも、後輩の身に危険が及ぶのは俺も明希も許さねぇ。全力で相手してやるよ」
雷刃を地面に突き刺す。
それは一瞬の事で、瞬きの次の瞬間には遠くの建物から3本の光の帯が見えた。
飛ばされたのは狙撃組だと気付くと、全員が戦闘態勢に入る。
「コレ見て相手してくれるやついる?」
「俺が相手になる」
名乗り出たのは太刀川さん。
「へぇ、太刀川さん強いの?」
「これでも個人・総合1位の実力はある。師匠は忍田さんだ」
「忍田さんの弟子か。良いねぇ面白そうだ。他に俺の相手してくれるやついねぇの?俺が指名すんぞ?」
「俺1人でやらせろ」
「...マジで言ってんの?」
「あぁ。俺1人で十分だ」
少し舐められてるような気がしたが、その威勢のよさは嫌いじゃない。
「言うねぇ。そう言うの嫌いじゃねーよ。よし、少し離れた所に行こう。他のやつらを巻き込むかもしれねぇからな」
「わかった」
「悠一、後はよろしく。こっちが早く終わったらそっち行くから」
「了解」
太刀川さんを連れて、少し開けた所に出る。
「ここでやろう。ここなら向こうを巻きまずに済む」
「んじゃ、行くぞ」
「いつでもどうぞ」
太刀川さんは速攻で距離を詰めて弧月を振るう。雷刃で受け止めたそれは、迷いのない良い太刀筋。
久しぶりに楽しめそうだ。
