モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第9章 三輪隊と黒トリガー
本部会議室にて
僕、悠一、修君はさっきの出来事の報告をしていた。
「なるほど...報告ご苦労」
「しかし、黒トリガーとは...そんな重要な事を何故隠していた?」
「まったく...これはボーダーの信頼に関わる事だよ?」
「お言葉ですが、最近までC級だった彼が黒トリガーの存在について知っているはずがないでしょう?考えて物言ってくれません?」
そう言うと、鬼怒田さんと根付さんは反論する。
「ならば、迅や藤咲が報告に来たら良かったではないか!」
「僕は先程の戦闘中に気付きました。悠一はSEで見ていたんでしょうけど、玉狛の人間がわざわざそんな事報告する訳がないでしょう?」
「ともかく、迅や明希の報告によれば、結果的に三雲君は現在まで黒トリガーを抑えている」
忍田さんが僕らを庇ってくれる。ホントにいい人だと思う。
城戸さんが僕と悠一に黒トリガーの奪取を命じた時は、『俺』が出てきそうになったけど、何とか抑えた。
報告が終わろうとしたとき、終始黙っていた唐沢さんが、三雲君に話しかける。
「三雲君、ちょっといいかな?君の友人の近界民がこっちに来た目的は何なのか、君は聞いてないか?」
「目的...ですか?...そう言えば『親父の知り合いがボーダーにいる。その知り合いに会いに来た』確かそう言ってました」
僕はその人についてもう知っている。その人がどうなったのかも...。
唐沢さんが父親の名前、もしくは友人の名前を教えてくれと頼む。
「父親の名前はわかりませんが、本人の名前は『空閑遊真』です」
『空閑』と聞いた途端、城戸さん・忍田さん・林藤さんの3人が驚き固まる。
他の3人は誰なのか知らないため、説明を求めると、忍田さんが話し始める。
「空閑有吾...有吾さんは、4年半前にボーダーが公になる以前から活動していた、言わば旧ボーダーの創設に関わった人間。ボーダー最初期のメンバーの1人だ。私と林藤にとっては先輩にあたり、城戸指令にとっては同輩にあたる」
少し区切ってまた話し始める。区切らないでよ。
「そして、明希にとっては師匠にあたる人だ」
他の3人が驚く。言ってなかったし当然の反応だけども、居心地が悪い。
「有吾さんは...その子の親は今どこに?君は聞いてないか?」
修君は少し気まずそうに切り出す。
「空閑の親父さんは...亡くなったと聞いています」
