モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第22章 記者会見と仕事
唐沢さんに支部まで送ってもらい、「ただいまぁ〜」と中に入ると、「明希ぃぃいい!!」と叫び声が聞こえてきた。
「え、何事...?」
「あんた何やってんのよぉぉぉおおお!!」
「桐絵?どうしたの?」
なんか桐絵が豪く御立腹なんだけど、なぜに?
奥から出て来た悠一に事の成り行きを説明してもらい、やっと理解ができた。
「出掛けたと思ったら記者会見で男装して出て来て、挙句活動開始するって公表したから何で一言も言ってくれなかったのかと怒ってる...でOK?」
「そうよ!何でなのよ!」
「いや〜なんて言うかね?修君達の付き添いで行っただけだったのに根付さんに見つかっちゃって、ついでだしって事で公表されちゃった」
「あの狐ーーーー!!!!」
桐絵に落ち着くように促すも全く聞く耳を持ってくれない。取り敢えずいつまでも玄関に居る訳にはいかないため、悠一に桐絵をリビング運んでもらい、作っておいたお菓子をみんなで食べる。
「...」
「大人しくなったね」
「許したわけじゃないわよ?とりまるだって何も言わないけど怒ってるし。あと、蓮琉も」
「えぇ...」
「当然じゃないっすか。広報活動するって事は先輩といる時間が減るんすよ?...普通に寂しいじゃないっすか」
京介のデレが過去最高に可愛い。気付けばいつもの癖で頭を撫でてしまっていた。
それがいけなかったんだろう。撫でていた腕を捕まれてそのまま引っ張られるがままに京介の腕の中に収まった。
「京介!?」
「...暫くこうされてないと許してあげませんから」
これは随分と不味い事したなぁとかなり深く反省する。みんなの前で恥ずかしいけど、仕方ないと諦める。
正面に座る蓮琉と悠一からの視線が痛い。
10分ほどでやっと解放されたかと思うと、今度は蓮琉に同じように抱き寄せられた。
「え、ちょ、蓮琉?」
「...俺は、姉さんがモデルやってるなんて知らなかった。それに、とりまるの言ってる事には激しく同意する」
「ごめんね。言うタイミングが無くって、言えなかったんだ」
「...ん」
短く返事をした蓮琉は、僕の肩にグリグリと頭を押し付けてくる。甘えたかったのかと理解して、ヨシヨシと頭を撫でてやる。
この瞬間、今晩悠一の部屋に連れ込まれ、抱きついたまま中々解放されず、そのまま2人とも寝落ちする未来が確定した。
